新型コロナ感染拡大を防ぎ、市民のくらしを守るための緊急要望書(第4次)を提出

8月6日、日本共産党八王子市議会議員団は、石森市長へ「新型コロナ感染拡大を防ぎ、市民のくらしを守るための緊急要望書(第4次)」を提出しました。木内副市長と総合経営部長が応対しました。
 要望書は、市内の医療機関・介護施設・教員組合・事業者団体・フードバンクや子ども食堂に取り組む団体・学生などから実情と要望の聞き取りを行った内容をお知らせするとともに、緊急な要望を取りまとめたものです。
 主な内容は、①感染拡大を阻止し、市民の健康と命を守るために(PCR等検査を大規模に実施すること。今後の感染拡大に備え、保健所を強化し、医師・保健師・検査技師など専門職員を増員すること。陽性者やその家族の実情に即して、食事や買い物など必要な日常生活支援を行う体制を整えること。フードバンクや子ども食堂などを行う団体への支援を強化すること。感染経路の最終報告、陽性者との接触者や感染が疑われる者など検査人数、陽性者の隔離状況、陰性を含む検査結果等につき、市の施設は当然であるが民間事業所・施設において感染があった場合についても公表項目を定め市民に公開すること。国民健康保険税の引き下げ、子どもの均等割りの免除など保険税の負担軽減を進めること。また、傷病手当金をフリーランスや個人事業主まで適用すること)②医療機関への支援強化 ③介護施設・障がい者施設への支援 ④中小事業者等支援 ⑤学校運営 ⑥学生支援 ⑦コロナ禍における避難所対策などです。
 皆さんから寄せられた要望の実現へ、全力で頑張ります。


 

新型コロナ感染拡大を防ぎ、市民のくらしを守るための緊急要望書(第4次)を提出

八王子市長 石森孝志殿

新型コロナ感染拡大を防ぎ、市民のくらしを守るための緊急要望書(第4次)を提出

 

2020年8月6日
日本共産党八王子市議会議員団
市議会議員 鈴 木 勇 次
同   青 柳 有希子
同   石 井 宏 和
同   望 月 翔 平
同事務局長 市 川 克 宏

引き続くコロナ感染が広がる中、対策に努力されている市長はじめ理事者、市の職員に感謝申し上げます。
 新型コロナ感染が全国で広がり第2波の様相を呈していますが、本市でも7月の感染者は111名、累積感染者数169名(8月1日現在)の65%以上となっています。本市の保育園3園や学校、大学そして医療機関等でも感染が広がり、感染リスクの高い施設での更なるクラスター感染が心配されます。先日の議会(全員協議会)での保健所及び市からの見解では、感染リスクの高い医療、介護施設等々の職員に対する積極的検査について「行う考えはない」というものでしたが、残念というよりは信じがたいというしかなく、とても受け入れられません。陽性者の命や暮らしを守る立場からも保護・隔離の実施、防疫目的の観点からも社会的検査の積極的な実施が求められています。
 東京都医師会会長が「今が最後のチャンス」とした警鐘、併せての提言を重く受け止め、本市でできることを早急に実行していただきたいと切に思うばかりです。
 この間、私ども議員団は市内の医療機関・介護施設・教員組合・事業者団体・フードバンクや子ども食堂に取り組む団体・学生などから実情と要望の聞き取りを行ってまいりました。その内容をお知らせすると同時に緊急な要望を取りまとめましたので、その実現のため更なるご尽力を強くお願いするものです。

1、感染拡大を阻止し、市民の健康と命を守るために
 聞き取り調査の結果、市民や各種団体から共通して出された要望として、検査体制の拡充が出されています。PCR検査の抜本的拡大を図り、陽性者の保護・隔離強化をすることが感染拡大を抑制する最大の対策であることは明らかです。また経済活動を進めるうえでも必要な対策です。
 世田谷区でスタートする方式等早急に実施することが国民的要求になっています。私たち議員団も繰り返し要求していますが、高リスク職場からの検査を早急に実施することを強く求めます。都医師会会長は、①診療に基づく検査、②陽性者の周辺、③経済活動上必要な者、④安心の確保を求める者の順に検査することを提言しています。重く受け止めてください。今が最後のチャンスかもしれません。保健所長が、PCR検査の偽陽性確率について言及していましたが、陽性的中率について感度と特異度の関係に基づく見解だと認識します。検体採取方法の問題などから感度は70%程度とされていますが、『感染力』があるとされる咽頭液・唾液にウイルスが存在する場合には正確に判断でき、『感染力』のある人を見つけ出して感染拡大を抑止するためにもPCR検査は十分に有効です。岩手県や全国の検査報告からも特異度は99,99%近いかそれ以上との評価が示されているように、偽陽性確率は非常に低いのです。PCR検査の陽性的中率は感染率にも左右されますが、特異度をもって検査を行わないとするのは、科学的根拠として挙げるに相応しいものでないことは明らかです。市民の健康と命を守るという立場に立つならば、現在偽陽性の問題を持ち出すことなど全く信じがたいというしかありません。本市も連日陽性者が確認されており、感染震源地となりつつあります。
(1) PCR等検査を大規模に実施すること。
(2) PCR検査拡大のために、医師会や検査機関・大学などの協力を求め保健所の行政検査また医療機関による保険適用での検査とは別に社会的検査を進める体制を構築すること。この社会的検査の実費費用全額を補助すること。
(3) 7月15日付け厚労省通知に基づき保健所を通して行う行政検査も、感染を疑うに足る者についてもれなく検査を行えるよう体制を整えること。また今後の感染拡大に備え、保健所を強化し、医師・保健師・検査技師など専門職員を増員すること。相談窓口を充実すること。陽性者の搬送など保健所が行っている業務を精査し、保健所職員以外でできる業務の分業化を進め効率化を図ること。
(4) 陽性者やその家族の実情に即して、食事や買い物など必要な日常生活支援を行う体制を整えること。
(5) フードバンクや子ども食堂などを行う団体への支援を強化すること。現在市が子ども食堂ネットワークを通じて行っている支援策が機能していないことや東京都のフードパントリー設置事業がコロナ禍で中断したとも報告されている。市が特に今の時期、強化しなければならない事業としての位置づけをもって、団体の実情をよく聞き取り実効性ある支援を行うこと。各団体の事務所経費(家賃、改修費、光熱水費、通信費、ガソリン代)など継続的な支援を実施すること。
(6) 市は感染者の人数等の情報をホームページで公開しているが、市民の不安を少しでも解消するために濃厚接触者の範囲を超えて検査を実施している場合にはその旨を公表するなど情報公開を改善すること。また、感染経路の最終報告、陽性者との接触者や感染が疑われる者など検査人数、陽性者の隔離状況、陰性を含む検査結果等につき、市の施設は当然であるが民間事業所・施設において感染があった場合についても公表項目を定め市民に公開すること。
(7) 国民健康保険税の引き下げ、子どもの均等割りの免除など保険税の負担軽減を進めること。また、傷病手当金をフリーランスや個人事業主まで適用すること。

2、医療機関への支援強化
 医療機関では、院内感染を起こした場合、診療や医療行為の制限ばかりではなく患者の減少など、病院経営に重大な影響が出ることから大変な労を強いられ、全職員に2週間以内の行動履歴をすぐ出せるようお願いしている病院や、特に風評被害を恐れているといった実態も報告されています。小さな医療機関でもこの間の外来患者数の減少など経営が苦しくなり融資を受けている実態があり、全医療機関への支援が必要とされています。更なる医療機関への抜本的支援を行うことを国や東京都に求め、市ができる支援の検討をさらに進めていただきたいと考えます。
(1) マスク供給は整備されてきたものの、手袋やPPE(医療用感染防護ガウン)、フェイスシールドなどは不足しており、実情を聞き取り、引き続き給付支援を行うこと。また今後の対応として唾液で検査できるPCR検査キットの支援も検討すること。
(2) 1次トリアージを行う医療機関やかかりつけ医は、診察のため院内の動線確保、患者の来診やPCR検査のできる医療機関への移動手段の配慮や生活指導などまで行わなければならない。市が1次トリアージ実施実績に基づく経済的支援を行うこと。
(3) 発熱外来やPCR外来、並びに入院を受け入れている医療機関への更なる支援と医療従事者への個別援助もさらに充実すること。

3、介護施設・障がい者施設への支援
 介護事業者の経済的基盤は非常に弱く、コロナ禍でデイサービスなどを一時休止した事業所や通所介護での利用者減少など大きな影響がありました。市からも通所型サービスでは2割程度の減収となっていることが報告されています。
(1) 減収補填の支援を行うこと。
(2) 通所型介護サービス等の報酬の2区分上位の請求を認めたが、利用者の負担が増えてしまう。相当額について市が直接事業者に支援すること。
(3) 非接触型体温計、ゴム手袋、フェイスシールド、消毒用アルコールが現在も不足している。継続した支給支援を行うこと。
(4) 障がい者施設の経済的基盤は、高齢者介護施設よりさらに脆弱であり、きめ細やかな支援を必要としている。実情の聞き取りを行うこと。
(5) 入所者の外出制限などで選挙情報が入手できなかった、投票に行けなかった事例があり、施設内投票が行えるよう各施設への周知や要請を行うこと。

4、中小事業者等支援について
 事業者団体から「市の第3次補正予算で実施された事業継続支援金は、都の協力金の支給対象外飲食店を支給対象に加えたことで、市の支援で救われた飲食店があった。一方で、テナント家賃緊急補助金では支給対象が国や都に準じているため単月で5割、3か月平均で3割減収との制度設計では救われない事業者が多く、国や都と同じ制度設計では全く意味がない。5割の減収があれば中小零細の飲食店は営業が継続できない。」という声があります。事業者の窮迫の実情を把握し、市として国や都の支援が届かない零細飲食店を救える制度設計を行うよう強く求めています。また建設関係業種では、『特に注文住宅や住宅リフォーム工事などの受注が極度に減少し、苦境に立たされている業者が多い。建設関係業種は市の支援対象から除外されていて使えない。工事中のマスク着用は夏季中、困難である。家賃補助の期間を延長してほしい。』などの要望が出されています。
(1) 市の支援制度について支給要件を緩和し、対象事業者の業種限定をせず拡大すること。コロナの感染が続き、事業継続が一層困難になっており、申請期限を大幅に延長すること。
(2) 新たな支援制度では業種を限定せず、事業継続に必要な資金を多くの事業者が確保できる支援メニューを創設すること。
(3) 仕事確保が急務であり、住宅リフォーム制度など経済波及効果の高い仕事お越しのための支援策を早急に実施すること。

5、学校運営について
 市内中学の教員の感染が報じられ、保護者からも『学校の教員が一部しか検査対象になっていない。これで感染を防げるのか』という心配の声が寄せられています。全国的にも教職員や子どもの感染が拡大しており、安心して通学できる体制づくりが急務です。
(1) 全教職員を対象にPCR検査を定期的に実施し、安心な職場環境をつくること。
(2) 感染防止対策や充実した教育を行うため、少人数学級の実現を国や都に強く求めること。
(3) 低学年を中心に一斉休業の影響で子どもたちのケアが必要である。教職員をサポートするために学校サポーターなど教員の補助人員を増やすこと。
(4) スクールカウンセラーの派遣日数を増やすよう都に求めること。
(5) マスク、消毒液、使い捨て手袋など感染防止対策に必要な物品は、拠点校を経由せず定期的に各学校へ直接提供すること。
(6) 放課後の校内消毒作業に協力する人材を確保すること。
(7) 子どもの緊急時に備え、校内電話を1教室に1台用意すること。

6、学生支援について
 市独自で国の支援対象から外れた困窮学生を対象に学生支援特別給付金の申請を受け付けていますが、800人の交付人数に対して申請件数は伸び悩んでいます。学生からも支援を受けたいが支給要件が厳しい、支援制度を知らなかったという声が寄せられており、必要な学生に支援が届いていない現状があります。支援が必要な学生に対して迅速に支援を届けるための制度設計が求められています。
(1) 学生支援特別給付金の給付要件を緩和すること、特に成績要件については各学校によって基準が違うため比較対象にならないという学生からの声もあり撤廃すること。
(2) 親との関係など何らかの事情で世帯収入の証明が困難な学生もいる。要件撤廃を含め個々の事情に即して柔軟に対応すること。
(3) 市内大学等に通学する学生を対象に大学付近や市民センターなどを活用して食料の配布を実施すること。
(4) 市独自に学生支援を実施していることを知らない学生もいる。学生に伝わるよう周知方法にはSNSの活用など工夫すること。

7、コロナ禍における避難所対策について
 市が公表した「避難所開設時の新型コロナウイルス感染症対策対応方針」には、避難所は住家を失った市民が利用するもの、あるいは自宅での生活に危険がなければ自ら判断して自宅避難を行うと規定しており、本来果たすべき避難所の役割を否定しており、見直しが必要と考えています。
(1) コロナ禍における豪雨・土砂災害に対応する新しい避難所運営指針を早く示すこと。
(2) 昨年の台風19号の被害を教訓にして、避難勧告・指示や避難所情報の発信が正確に行えるよう備えること。
(3) 開設した全ての避難所に職員を配置すること。
(4) コロナ感染防止対策上、必要な物品は事前準備をすること。