2023年度市政運営と予算に関する要望書

11月1日、党市議団は「2023年度市政運営と予算に関する要望書」を提出しました。新型コロナ対策をはじめ医療や学校教育、生活支援、ジェンダー平等の促進など9項目31課題の要望です。

市長は要望書に対し「できるだけ対応していきたい」と述べました。

懇談の中で市長は、「物価が高騰し市民生活が大変になっている。国の経済対策もいつまで続くのか、その場しのぎの感をぬぐえない」と感想を述べました。

統一協会の問題で市長は、「関連団体が多すぎて驚いている」とのべ、今後は関連団体を市の広報には掲載しないことを言明しました。党市議団は第3回定例市議会で市長が今後、統一協会関連団体との関係を断つと表明したことをあらためて確認し、統一協会と関係実態の全庁調査を行い、社会福祉協議会が統一協会から受けた寄付は即刻返金することを市長に要請しました。

来年度から実施される18歳までの子どもの医療費無料化について、市長は「八王子で所得制限を廃止するには億単位の財源が必要なだけに、市単独での事業は難しい。東京都の財政的支援を求めていく」との考えを示しました。党市議団は多摩格差の解消にむけて東京都の責任を求めていくとともに、地元自治体の努力を求めました。


2022年11月1日

八王子市長
石森孝志殿

2023年度市政運営と予算に関する要望書

日本共産党八王子市議会議員団
市議会議員鈴木勇次
同石井宏和
同望月翔平
事務局市川克宏
日本共産党八王子地区委員会
若者雇用相談室長綿林夕夏

日頃の市政運営のご努力に感謝申し上げます。
一昨年以来の新型コロナパンデミックは、市民に健康被害だけでなく、甚大な経済的困難をもたらしました。加えて今日の円安物価高は深刻で、生活困窮家庭を多く生む事態となっています。市民のくらしを支える基礎自治体の役割がますます発揮されなければならないと考えています。

私ども会派で、10月13日から市長会主催で開催された全国都市問題会議に参加してまいりました。それぞれの地域で、困難を乗り越えまちづくりに努力されている方々からの報告を聞き、本市の長期ビジョンがどのようになるのか、思いを寄せずにはいられませんでした。歴史あるまちであり、学園都市として若者が集うまちでもある本市が、新旧の価値を引き出し、また紡ぎあいながら新たな文化を創造できるまちへと発展できるよう更なる
ご尽力を期待しております。

私どもは決算議会で、市民要望を確実に実現するため市政運営や予算執行の在り方、とりわけ税金の使い方について指摘いたしました。今後の市政運営にぜひ活かしていただくようお願いいたします。

来年度の予算要望は、この間、私どもが特に求めてきたことを中心に要望させていただきました。ご検討いただき、実現へのご努力を重ねてお願いさせていただきます。

 

1.新型コロナ対策
9月26日に全国一律で全数把握の見直しが実施され、自宅療養者への療養証明が発行されない事態となりました。見直しに伴い、民間保険会社でも自宅療養者など「みなし入院」に対する入院給付金が給付されなくなるなどの動きが出ています。また今後、感染症法の分類が2類から5類に見直された場合など医療にかかる自己負担が増える懸念があります。新型コロナ感染症から市民の命を守るため下記要望します。
①医療を必要とする市民が安心かつ確実に医療を受けられる体制を構築すること
②感染拡大を防ぐためPCR検査体制を充実させること

2.国民健康保険並びに医療について
①今年度までの5年連続値上げで、本市の国民健康保険税は多摩地区で最も高い水準になり、加入世帯の家計を苦しめています。国保運営協議会では、私どもの会派委員以外の民生委員代表並びに公募市民代表委員が、続く値上げに意見を述べています。重く受け止める必要があると考えます。
(ア)コロナ禍と物価高の影響も鑑み、保険税を引き下げること
(イ)特に子どもの均等割を独自に軽減すること
また、国に対して子どもの均等割軽減の対象と金額の拡大を求めること
(18歳以下まで均等割半額軽減を拡大する費用は約1億円、全額減免にする費用は約2億5千万円)
②東京都は都民の強い要望に基づき来年度から15歳から18歳までの子どもの医療費無料化を実施します。23区はさらに独自に所得制限と通院時の自己負担もなくす決定を
しています。
(ア)23区及び他市の努力と同様に本市も所得制限をなくすこと
(イ)併せて15歳以下も含めて、1回200円までの通院時の窓口負担もなくすこと(所得制限をなくす費用は約2億4千万円、窓口負担をなくす費用は約1億3千万円、
合わせて約3億7千万円)
③市のガン検診に、特定健康診査の際の採血で簡便に行うことができ、全国8割以上の自治体で実施している前立腺ガン検診(前立腺特異抗原〈PSA〉検査等)を加えること
(50歳以上の男性に2年に1回、PSA検査を行う制度にし、自己負担額を差し引いた市の負担額を2500円として、2万人が受診した場合の費用は5千万円)

3.学校教育について
①給食費の無償化
学校給食の無償化がこの間全国で急速に実施されています。群馬県では8割以上の自治体が何らかの形で無償化に向けた取り組みを行っています。また、都区内でも葛飾区が来年度からの無償化実施を表明しています。
小中学校の給食費を無償化すること(小中学校の給食費完全無償化の費用は約15億6千万円、第3子以降に限れば約1500万円)
②体育館の空調機設置
小中学校体育館へのエアコン設置は、23区、並びに26市中23市がすべて設置されるか、工事が進められている状況です。本市の現状は新たな八王子格差を子どもたちに強いるものであり、市及び市教委の方針は即刻変更されなければなりません。
(ア)全ての小中学校体育館に空調機を設置すること
(イ)設置した空調機は授業や学校の教育行事及び部活動などで積極的に活用すること(未設置校すべてにエアコンを設置する費用約40億円、国と東京都の補助が半額ある場合、市の負担は約20億円)

③学校プールの開設
すべての小中学校のプールを開設し水泳授業が確実に実施できるようにすること。また夏休み期間を含めて積極的に活用するため、プール開設予算を確保すること(コロナ禍前の学校プール活用の費用は約1億2千万円)

④学校司書の増員
学校司書が各小中学校で週に一日活動することになり、学校図書館が充実してきました。さらに学校司書を大幅に増員して、学校での活動日数を増やし、学校図書館の活用を進めること
(学校司書を20人増員する費用は約6800万円)
4.生活支援
①国際アルツハイマー病会議(AAIC)において難聴は認知症の危険因子の一つに挙げられました。また厚労省の担当者は『聞こえは人権問題で、情報を得られることは大切』と述べています。一方で日本の補聴器の普及率が欧米と比較して低い状況です。その要因の一つには高額な購入費も挙げられており、都内では23区中16区、多摩地域でも三鷹市が独自に助成を開始しており動きが広がっています。

本市においても加齢性難聴者に対する補聴器の購入助成を独自に実施すること(八王子市の高齢者人口とほぼ同規模の練馬区では300人で約760万円。八王子市において対象者1人5万円給付と仮定すると300人で約1500万円。また都の包括補助金を活用することで半額助成されることから一般財源では約750万円)

②障がい者の移動支援について中学生以降ではなく都内自治体の多くが対象にしている小学生からも利用できるよう対象を拡大させること(手帳の所有者や中学生以上の移動支援利用実績をもとに算出すると小学生まで対象を拡大した場合に係る予算は約900万円。従来の制度でも約1億8000万円の予算額のうち執行額は約1億2000万円であり小学生までの対象拡大でも予算額内で可能)

③障がい者の自立を支援する日中活動系施設等運営安定化事業補助金を現行の月額上限10万円から20万円に戻すこと(月上限20万円であった2020年度決算額が1億7962万円。14万円に減額された2021年度決算額が1億5646万円であり2316万円の影響額が出ている。今年度は10万円に減額)

④奨学金を利用かつ5年以上定住する方を対象に最大50万円奨学金の返還を補助する八王子市定住促進奨学金返還支援事業(定員50名)は募集開始から3日で定員に達しました。支援事業の定員を増やし、利用しやすくすること

⑤はちバスの増便や路線拡充、デマンド交通の導入で地域公共交通の充実を図ること支援対象の増加や運営経費が厳しくなっているフードバンク団体ならびに子ども食堂への支援を強化すること

⑥片倉町の水路及び道路整備について
請願が出され、現在継続審査となっている片倉町旧北野街道の水路及び狭隘道路の整備は21年度予算でも計上しており、引き続き予算化し、市の責任で早急に実施すること。その際には住民らの要望がかなうよう配慮し、進めること

6.ジェンダー平等促進
世界経済フォーラムが日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位であると報告しています。特に経済や政治分野での遅れも併せて指摘されていることは重大です。ジェンダーギャップの是正は日本社会に課せられた大きな優先されなければならない課題です。男女共同参画基本法が定める5つの基本理念に即し地方自治体が果たすべき責任を全うしていただくことを求めます。
①市管理職に占める女性割合の目標達成に向けて環境を整備し、進捗状況を検証すること
②市職員において女性の育児休業取得率100%に対し、男性は昨年度66.1%となっている。男性職員の育休取得率は年々上昇しているが、引き続き育休を取得しやすい環境の整備とともに各職員の育休取得期間も増やしていくよう取り組むこと
③現代社会が目指す水準のジェンダー平等を実現するためにLGBTQの方々が市内で権利が侵害されることのないよう都が開始したパートナーシップ制度と整合性を図り、市営住宅の入居要件などを緩和すること。また市としてもパートナーシップ制度を導入し、支援を拡充すること
④(仮称)八王子市男女共同参画社会の実現を目指す条例には、審議会の役割を明確化し市に対して指導や助言、勧告できる苦情処理機関の設置を盛り込むなど格差是正や評価体制ならびに権利擁護推進に向けた実効性ある体制を整備すること

7.気候危機対策
本市は本年2月に2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとするゼロカーボンシティ宣言を行いました。この目標を確実に達成するため、気候正義の理念に基づき本気の取り組みを求めます。行うべき必要な対策は明確で、省エネ対策と再生可能エネルギーの活用普及であることを銘記すべきです。

①全ての公共施設における再生可能エネルギーの活用方針を再構築すること。その際、設備導入については国及び東京都の補助制度などあらゆる支援制度の活用に努力すること

②市民の再生可能エネルギー活用を促進するための市の支援制度を抜本的に強化すること
③省エネ対策としてZEB,ZEHを推進するための建築審査体制の構築、並びに対策建築物への支援を実施すること
④温暖化防止推進計画の見直しは政府の後追いではなくゼロカーボンシティ実現をめざすものとすること

8.米軍機による騒音等の被害に対して
米軍横田基地に特殊作戦部隊のCV22オスプレイが配備され、市街地での夜間・低空飛行訓練など横行している。クラッチの異常等による事故が相次ぎ、根本的な解決ができていない現状からも、オスプレイの飛行停止を国と米軍に求めること。輸送機や戦闘機を含めて苛烈さを増している航空機騒音の測定を常時行い、市民の被害の実態を明白にして、国と米軍に被害の解消を求めること(常時騒音測定の費用は約100万円)

9.統一協会と行政の関係について
この間の議会で、市長および教育長から統一協会並びに関連団体とは関係を断つとの回答がありました。私たちの独自の調査で関係が明らかになった事実もあり、さらに関係
事実が存在する可能性もあります。また、市から報告のあった八王子市社会福祉協議会が本年初めに寄付を受けていた事実について、返金がなされていないと聞いており許さ
れることではありません。市長並びに教育長答弁のとおりの措置が取られるよう求めます。
①関係実態の全庁調査を徹底して行い、すべての関係を断つこと
②市社会福祉協議会が受けた寄付は即刻返金すること
③被害が広範囲に広がっていることから、国・都とも連携し被害者救済のための窓口を設置し対応すること

以上