2020年度八王子市予算編成と市政運営に関する重点要望書
11月22日、共産党八王子市議団は石森市長あてに、「2020年度八王子市予算編成と市政運営に関する重点要望書」を提出しました。災害復旧や子どもの貧困対策、社会保障など12項目の重点要望書です。29日から市議会が開会します。暮らし福祉優先の市政へ、頑張ります。
八王子市長 石森孝志 殿
日本共産党八王子市議会議員団
鈴木勇次
青柳有希子
石井宏和
望月翔平
事務局長 市川克宏
貴職の日頃の市政運営のご努力に敬意を表します。
市議会は、11月15日に行われた報告会で中学校給食実施への取組み、空き家対策事業について大きく前進したことを報告しました。議員からの要望や提案がさらに達成されることを私どもとしても強く望んでいます。台風19号による災害復旧など緊急に取り組まなければならない課題も多くあります。市民の生活安全のため更なるご努力をお願いします。
来年度に向け政府各省庁は概算要求額を明らかにしています。防衛省の要求額は、事項要求などを含めると総額5兆5000億円を確実に超え6年連続で過去最高を更新しています。一方、社会保障費は自然増部分の増額抑制方針のもと、増額部分に5300億円という枠をはめていることから社会保障サービスの後退が危惧されています。また、まちづくりにおいても、人口減少を理由にコンパクトシティでなければならないとして周辺地域の公共施設の統合などを政府主導で進めています。私どもは消費税増税の影響も深刻であると受け止めています。市民のくらしを守るためサービスを後退させない市政運営が一層求められています。市民が強く求めている要望につき重点要望書にまとめましたので是非予算と市政運営に反映していただきますようお願いします。
1、災害復旧と防災に関すること
台風19号は、市の各地に水と土砂による災害をもたらした。今緊急に対応しなければならない最大の課題である。以下の点に配慮して対応をお願いしたい。
(1)情報連絡体制の不備が明らかになっている。ネット容量の確保と希望者へ防災無線個別受信機の貸与など検討すること
(2)発災の可能性の高い遠方の避難所や、避難所不足などの問題が明らかになった。緊急時の民間施設の協力なども含め安全な避難所確保と、避難所派遣職員の体制整備など今日の災害規模に応じた避難所体制の確立を急ぐこと
(3)り災証明、被災証明を災害被害者すべてに速やかに発行するよう努めること(その際、基準などが緩和されていることを十分考慮すること)
(4)全市の災害発生場所の復旧計画を早急に立案し公表すること(都や国が行うものを含めて)民地は対応できないと説明してきたが、民地の災害発生場所についても復旧の考え方を明らかにすること
(5)電気機械の水没被害で重大な損害を受けた工場もある。中小商工業者や農林業被害の調査も行い支援策を講じること
(6)市町村単位の指定となる局地激甚災害指定を要請し支援を求めること
2、国民健康保険について
国民健康保険税の連続値上げが市民生活に大きな影響を与えている。このまま国が求めている法定外繰り入れの解消に応じて値上げを続ければ、国民皆保険の存続自体が危ぶまれる。全国知事会、全国市長会、全国町村会が求めているように公費投入が必要であり、国及び財政力のある東京都に対しても財政支援を引き続き求めること。同時に本市もこれ以上の値上げとならないよう一般財源の繰り入れを維持し、国保税値上げをやめること。
子どもにもかかる均等割は子育て支援に逆行し、過酷な負担となっているため、18歳以下の加入者の均等割額を免除すること。
保険税の滞納者に対しては、国税徴収法に則り生活実態に即した納税相談を行い、必要な医療を受けられるようにすること。また、滞納世帯の子どもの短期証の2か月間の留め置きはやめること。
3、社会保障・介護・高齢者福祉について
介護保険料の値上げはせず、低所得者や生活困窮者に対する保険料・利用料減免の制度を拡充すること。1473名の特養待機者数に見合う特別養護老人ホームの建設の計画をつくること。また、中核市移行後、広域型特養ホームの整備費補助や改修費補助制度の内容は、充実されてきた東京都の制度と同水準になっていないため、市制度で、同水準に引き上げるか、東京都に対して八王子市も補助メニューを使えるよう求め改善をはかること。
介護保険のヘルパーの人手不足を解消するために介護従事者の処遇改善を図ること。「医療・介護総合法」で、要支援者への介護サービスに代わる”代替サービス”をボランティアなど多様な実施主体に担わせることになったが、これらの団体が本来の支援ができなくなるようなことは防ぐこと。
中等度の難聴者に対する市独自の補聴器購入補助制度をつくること。
4、公務・公共施設・公共料金について
(1)窓口委託など情報漏洩やサービス低下につながる民間委託化をやめること。公務において過労死ラインを超える働き方をなくし健全な職場環境にすること
(2)公共施設のあり方の検討においては、住民要望を最大限尊重し市民サービスを後退させないこと
(3)学校統廃合につながる市立小・中学校適正配置推進計画は止めること。小中一貫校や義務教育学校は学校関係者や地域住民の声を尊重し拙速に進めないこと。
(4)消費税増税が市民生活を直撃していることにも鑑み、学童保育料、下水道料、公共施設利用料などの値上げを行わないこと
5、雇用・仕事おこしについて
(1)後継者不足や消費税増税に対応できない個人・中小企業の閉店が相次いでいる。消費税増税の影響を調査し、地域の活性化促進のためにも中小企業への支援を拡充すること
(2)今日、設計労務単価の上昇と現場の建設労働者の賃金の乖離が大きくなっている。本年6月新宿区では公契約条例が制定されている。本市でも公契約条例を制定すること
(3)新規就農者に対する支援は就農時だけでなく、継続して行い農業後継者づくり・農業振興を図ること
6、子どもの貧困対策について
子どもの貧困を防ぐため、市が行なった子どもの生活実態調査の結果と考察に基づいて、以下の支援を充実すること
(1)無料塾の対象者を拡大し、一度対象になった生徒は卒業まで支援を継続すること
(2)フードバンクは、生活困窮者への支援としてかけがえのない役割を果たしている。市の福祉事業とも連携して取り組まれており、団体が求めている食料保管場所の確保への支援を行うこと
(3)保育園、幼稚園、小学校の給食費を無償化すること
(4)学童保育所の夏休み期間中の給食の提供を全学童に広げること
(5)就学援助制度を拡充し、入学準備金の算定基準は6歳とすること
(6)18歳未満の子どもの医療費を完全に無償化すること
7、教育環境・教育条件整備について
(1)学校図書館司書は週1日小中学校に派遣されているが不十分である。全学校に専任司書を配置すること。また、当面大規模校から配置日数を増加するなど対策をとること
(2)都内の全自治体が学校体育館へのエアコン設置整備を進めている。国や都の補助を活用し早期に学校体育館へのエアコン設置を進めること
(3)文科省は少人数学級実現のための予算要望を削除するなど文教政策の後退が見られる。日本は教育面で後進国だという厳しい指摘もされている。自治体として積極的に30人学級を実現するため国及び東京都に働きかけること。
(4)政府が進める教職員への『変形労働時間制』の導入は過労死を増加させるものである。導入に反対し教職員の多忙化解消対策を進めること
(5)市が行う学力テストは止めること
(6)いじめ問題の解決のため、教職員の働く環境を改善し児童・生徒との関係をより持てるよう教育条件整備を進めること
いじめ対策委員会の提言については、学校現場の意見を尊重し進めること
8、保育施策について
希望した認可保育園等に入園できなかった隠れ待機児は、159人となっており、引き続き待機児が多いエリアに認可保育園をつくること。紙おむつを保育園内で処理できるよう支援すること。宿泊型、通所型の産後ケアセンターを実施し、低所得者も利用できるよう減免制度をつくること。
学童保育所が足りず、3年生までの受け入れとなっている学童が多数あるため、6年生までの待機児童数の実態を把握すること。学童保育所を増設し、早期に障害児が6年生まで受け入れられるようにすること。
学童併設の児童館もあり、児童館の地域における役割は大きく、赤ちゃんから18歳までのかけがえのない居場所である。今後も内容を充実させ、多くの子どもたちを受け入れる居場所として発展させること。
9、障害者(児)福祉について
障害児の移動支援を行動範囲が広くなる小学生から実施すること。身体障害児にも使えるようにすること。障害者・児の移動支援を通所や学童への移動などを可能とするなど柔軟に対応すること。障害者の生活の場である日中活動系サービス施設の家賃補助制度は継続し、支援をすること。重度身体障害者を受け入れる施設を新たな場所を確保して作ること。
八王子市内から他市のNICUに搬送される子どもの実態を把握し、中核病院にNICUを早期に設置すること。
10、学生・若者への生活支援について
多摩都市モノレールは他の路線と比べて運賃や通学定期代が高額である。市内の大学等に通学する学生をはじめとしたすべての利用者が利用しやすくなるよう筆頭株主である都に働きかけること。また市としても独自に負担軽減策を講じること。
社会的や経済的に深刻な問題となっている学生や若年層の貧困に対し、包括的・継続的な支援を拡充すること。八王子若者サポートステーションとの連携強化をはじめ、引きこもり等についても当事者・家族への支援を拡充すること。
11、まちづくりに関すること
総務省は2014年、公共施設の総合管理計画の策定を義務づけた。狙いは公共施設を減らし財政支出を抑制すること、公共サービスの委託化、同年の都市再生法改正により制度化した立地適正化計画と一体となって都市の再編を進めることにある。
立地適正化計画は、人口減少社会を前提に、民間活力をうたい駅前開発の参入業者への補助金対策など優遇策を設けている。こうした方向は、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り」「農林業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべき」ことを基本理念とした都市計画法にも反し住民福祉の向上をめざす憲法の理念とも相容れないものであり、住民のためにならないことを十分に考慮すべきである。
(1)川口土地区画整理は、周辺地域に土砂災害・水害をもたらす危険な造成計画となっている。事業者は、「基準以上の雨量があった時の災害は工事が原因でないから責任はない」住民などと住民に説明している。こうした姿勢を認めるべきではない。起こりうる地震や豪雨に対応する責任を明確にし、工事は見直すべきであり行政からの厳しい指導をすべきである。また助成金交付は議会で答弁してきたとおり厳格に行うこと。
(2)北西部幹線道路は抜本的に見直すこと
(3)川町、宇津貫町の残土持ち込みの計画は中止させること
(4)高尾駅南北自由通路及び駅バリアフリー化整備を市主導で早期に進めること
(5)医療刑務所跡地の整備利用計画は企業意見を基本とするのではなく住民参加のもとに進めること
(6)郷土資料館の仮移転は、むだな支出であり中止すること
12、核兵器禁止・米軍による被害
(1) 本年第2回定例会で、核兵器禁止条約に署名し批准するよう政府に求める意見書が可決成立し、本市が加盟した平和首長会議も核兵器禁止条約を推進する運動を続けてきている。こうしたことからも、本市が、核兵器を廃絶するために、積極的に行動し、被爆国として政府が核兵器禁止条約に署名し批准するよう促すこと。
(2) 昨年横田基地に配備された空軍特殊作戦部隊のCV22オスプレイが、機関銃をむき出しにした実戦訓練、ヘリモードでの飛行や夜間・低空飛行訓練を続けるなど日米合意にも反する危険な市街地での飛行が続いている。市民と協力して、こうした実態を把握し、国と米軍に是正を求めること。また、市長会要望に反して、情報提供が後退していることも問題であり、誠実に情報提供するよう国と米軍に求めること。本市独自の航空機騒音測定を抜本的に強化し、市民の被害を明らかにして、特に夜間の騒音軽減を国と米軍に求めること。
以上