2026年第1回定例会_予算等審査特別委員会|総括質疑|2026年3月9日 市川かつひろ

【予算等審査特別委員会】総括質疑3日目

3月9日(月)10:00開会

質問者:市川かつひろ

発言順:1番目(10:00開始)


《質問項目》

1,すべての子どもの学ぶ権利を保障するために

(1)就学援助

(2)学校教育にかかる保護者負担の軽減を

2,学校再編について

(1)今後のすすめ方


おはようございます。日本共産党八王子市議会議員団の市川克宏でございます。

発言通告に基づき総括質疑を行います。

1,すべての子どもの学ぶ権利を保障するために

教育の主人公は、言うまでもなく子どもたちです。教育は、子どもの「人格の完成」をめざし、その尊厳を尊重しながら発達を支える個性豊かな営みです。教育は子どもの権利であり、教育の機会は平等に保障されるものです。そして、主権者として育っていく子どもたちがこの国の未来をつくります。これが、憲法の求める教育のあり方です。

教育は憲法が国民に保障する基本的人権であり、どんな経済的環境に生まれてもお金の心配なく教育を受けられるために。私どもは、教育費の完全無償化をめざし教育予算を引き上げるとともに、教育費負担の削減が必要であると考えます。

会派代表質疑において、憲法で定められた「義務教育は、これを無償とする」、この課題にどう取り組むのか?そこで就学援助基準の引き上げを求めました。

これに対し、教育長から「憲法に規定されている「義務教育は、これを無償化とする」とは、授業料のことであり、学用品その他、教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないと定めたものではない」という1964年の最高裁判決の判例を示し、国において特例法により教科書が無償化されていると述べられました。

さらに、「本市は、これら以外の費用の保護者負担を軽減していく必要性を認識しており、就学援助の充実にも務めていく」との答弁をいただきました。

私は、ご答弁をいただき、若干の違和感を感じました。

教育にかかる保護者負担軽減の必要性を認識しているわけですから、当然、義務教育の無償化に程遠い現状、国の最高裁判決を乗り越えていかなければならない、と考えたからです。

すべての子どもの学ぶ権利を保障するうえで、憲法がさだめる「義務教育は、これを無償とする」このことをどうとらえるのか、すべての子どもの学ぶ権利を保障するうえで、土台でもあります。

【質問】なぜ、無償化の範囲を授業料だけと、極めて限定した最高裁判決の判例を示されたのか?憲法を規定をどう評価しているのか、ご所見を伺います。

【答弁】代表質疑において憲法に定める教育費の無償化についてのご質問がありましたので、最高裁判所の判例をお示ししただけです。八王子市としては、保護者負担軽減の必要性は認識していることから、就学援助の充実にも努めてきたほか、引き続き、学校と共に、教育活動の目的、本質を踏まえさまざまな見直しを行い、保護者負担軽減の取り組みを行ってまいります。

 

「義務教育は、これを無償化とする」この条文解釈に初めて明確な判断を示したのが、先にのべた最高裁判決でした。

東京都内の公立小学校に通う児童を持つ保護者が、支払った教科書代は、憲法第26条が義務教育の無償を定めていることから、教科書代金は国が負担すべきと、義務教育期間中の教科書代金の徴収行為の取り消しと支払いを求めて国に対して訴えを起こしたことが裁判の背景にありました。判決では「国が保護者の教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは望ましいところである」としながらも「それは、国の財政等の事情を考慮して立法政策の問題として解決すべき事柄であつて」「憲法の規定するところではない」と唱えられ、この解釈は通説とされてきました。

しかし、授業料以外に学校にかかる費用がある場合、その費用負担をできない家庭の子どもは、教育活動を経験できません。経済的事情によることなく、すべての子どもたちが、学校に通い、教育活動を保障される必要があります。

実際、国の教育政策は授業料にとどまらず、1960年代に義務教育段階については教科書代を無償とし、2010年には公立高等学校についても授業料の無償化を展開し、近年、学校給食無償化へと、子どもたちの教育を受ける権利が保障される範囲が拡大しています。

憲法が定める義務教育の無償化にむけて、教育費負担の軽減を求める世論と運動や自治体の取り組みがあります。憲法制定後の歴史の中で、家庭の状況に左右されることなく、すべての子どもが義務教育を受けるための経済的保障として、憲法が規定する「義務教育は、これを無償とする」理念の実現にむかっているということを申し述べたいと思います。

(1)就学援助

文科省が調査をしている長期欠席者(年間30日以上の欠席者)の理由として、毎年「経済的理由による」という回答が、少数だが報告されています。憲法に定める「教育を受ける権利」が保障されていない子どもの存在は、国や自治体が担うべき責務を果たし切れていないと言えます。また、保護者負担が増加している問題もあります。

だれもが安心して義務教育を受けられる環境をつくっていくために、就学困難な子どもへの援助をひろげていくだけでなく、保護者が負担する費用を限りなくゼロに近づけていくーこのことが憲法が謳う「義務教育は、これを無償とする」精神へのアプローチだと考えます。

学校教育法(第5条)では「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、その学校の経費を負担する」と定めています。一方で入学時に必要な学用品の購入にかかる費用は保護者が負担するという規定はありません。しかし、実際には、家庭の状況によってはそれを負担できない実態があります。さらに学校教育法(第19条)では、経済的理由によって就学が困難な子どもの保護者に対して、「市町村は必要な援助を与えなければならない」と(就学援助)と定めています。必要な就学援助の内容や基準、費用は、各自治体によって異なります。

そこで伺います。

【質問】本市における就学援助制度の運用に関する課題についてご所見をお聞かせください。

【答弁】就学援助制度は、教育の機会均等を図るための重要な施策であると認識しております。引き続き、経済的困窮世帯に、確実に支援が行きわたるよう、周知や申請方法なども含め、継続して行っていく必要があると考えております。

 

就学援助実施における文科省の調査(令和6年度)では、主な認定基準のうち「生活保護の基準額に一定の係数をかけたもの」を認定基準にしている自治体は78.5%であり、生活保護基準の1.2倍を超え、1.3倍以下と回答した市町村の割合が44.7%と最も多くなっています。

会派代表質疑において本市は、「生活保護基準を基に、就学援助では対象が狭まることがないよう、平成30年度の基準を適用・維持している」との見解が示されました。

2023年度における文科省の「子どもの学習調査」によれば、学校教育費をみると公立小学校で年74,336円・中学校で150,761円であり、就学援助はあくまで「援助」であり、実際に必要なモノを揃えるには限界があり、私費負担は避けられません。

【質問】今後、就学援助の充実にむけてどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。

【答弁】八王子市では、国の補助単価に合わせて改定しており、直近では、令和6年度と令和7年度にも単価を上げて各家庭を支援しております。また、修学旅行費は、国が補助の上限を定める中、実費支給を行っております。令和8年度につきましても、これまでと同様に対応を考えてまいります。

 

就学援助制度は経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱です。ところが、2005年に国は、準要保護に対する国庫補助金の廃止した結果、準要保護の認定基準は 各市町村が独自に設定することになりました。

その結果、財政力の弱い自治体では基準が低くなりやすい、子どもの貧困率が高い地域ほど支援が届きにくくなるという“自治体間格差”が生まれ今日に至ります。

国庫補助金廃止から20年余、生活保護基準の引き下げ、特に2013年8月から生活保護の引き下げは、約3年間で基準生活費は平均6.5%、最大10%減額されたこと、さらに物価高騰は、子どもの学ぶ権利が侵害されています。

就学援助の対象を現在の生活保護基準(1.25倍)から引き上げ、支給額も増額するとともに、利用しやすい制度への刷新を求めます。

 

次に、

(2)学校教育にかかる保護者負担の軽減

について伺います。

会派代表質疑において教育長から「児童・生徒にとって真に必要な教材・教具や体験活動かを、十分に精査すること」引き続き「学校とともに教育活動の目的、本質を踏まえた様々な見直しを行い、保護者の負担軽減の取り組みを進めていく」との趣旨のご答弁をいただきました。また、品川区、荒川区、葛飾区、足立区、杉並区など教育費の負担軽減に着手する自治体も増加しています。

それぞれの家庭の収入を増やすことはなかなか難しいが、しかし支出を減らすことで当たり前の学校生活を送りやすくすることは学校関係者の努力や国や自治体レベルの教育政策によって可能だと考えます。

「真に必要なモノは何か、学校や保護者ができることは何か」という視点で考えますと、「今まで通り」購入していたから必要なモノとの固定観念を整理する意識改革が必要だと思います。

教科書以外の教材を授業で用いる場合、学校は、教育委員会へ事前に届け承認を得る必要があり、文科省も「補助教材の購入に関して保護者の経済的負担が過重にならないよう留意すること」を通知しています。

より良い授業に教材は不可欠ですが慣例的で検証されないものであってならない、工夫と努力が必要です。

そこで伺います。

【質問】学校教育法(学校教育法42条)における学校評価では、学校自身による自己評価と保護者など「学校関係者による評価」があります。必要な教材・教具などの品目や負担の検証をどのように取り組んでいいるのか、ご所見をお聞かせください。

【答弁】市立学校においては、「学校評価の手引き」である実施指針に基づき、学校評価を実施しています。教材・教具の品目や負担に関する御意見・御要望を含む学校評価の結果は、学校運営協議会で適切なプロセスのもとに協議し、児童・生徒がより良い教育活動等を受けられるよう学校運営の改善と発展に努めています。

 

学校側からの必要なモノを厳選し保護者負担を軽減したいという意志は明確だと思います。学校側からの問題提起とともに、現場、保護者や地域の協力と、お互いの意識改革は欠かせないものと思います。

例年通りの「慣習」を見直し、負担は最小限に抑える継続した取り組みを要望いたします。

授業に必要であり、家庭で購入して個人所有となる代表例に書道、絵の具、裁縫セットなどがあります。

一括セットで購入、学校で購入し貸し出す、使用頻度が高いものを単体で購入するなどが考えられます。

授業が終わるたびにセット一式を持ち帰り、家で洗って、また荷物にして登校する。しかし、学校で子どもたちや教員が管理すれば、保護者の負担は軽減されるだろうと思います。また私費負担を減らすには、学校で必要なモノを購入、備品化すれば良く、使う頻度が高いモノなら、忘れ物もなくなり授業進行にも役立つはずだと思います。

そこで伺います。個人所有するモノの私費負担を軽減するうえで、使用頻度、リユース状況、管理方法の検討など必要なテーマとなるだろうと思います。彫刻刀さらには算数セットの備品化に至った検討過程について伺います。

【答弁】子育て世代への経済的支援の気運が強い社会情勢の中で、保護者の経済的負担軽減を図るとともに、学用品によっては学校で一括管理することで、教育上効率的に活用できることを踏まえ、彫刻刀・算数ブロックの学校備品化を図りました。

体育実技用具について、今年度中に剣道で使う竹刀を体育実技で必要な学校に配置する予定とのことです。柔道着については、各自購入やレンタルと聞いています。購入費や使用頻度などの検証とともに、学校側で授業計画の工夫など検討していただきたいと思います。

政府は昨年(2025年)6月13日に閣議決定した「骨太方針2025」(経済財政運営と改革の基本方針2025)に、「学用品の学校備品化の取組周知を推進する」と明記しました。

国では、各教科等で使用する教材のうち、学校に備えるべき品目や数量の目安を示した「教材整備指針」を策定し、自治体が整備できるよう地方財政措置を講じていくとしています。

そこで伺います。

【質問】今後、学用品の備品化を進めるにあたり予算の拡充とともに、どのような学用品を検討しているのか?ご見解を伺います。

【答弁】令和8年度は、文部科学省の通知事例にもある「裁縫セット」について、学校備品化を進めていきます。引き続き、学校での備品化の可否や使用頻度を勘案したうえで、調整を行い、学校備品化に向け、進めてまいります。

 

家庭の状況に左右されることなく、すべての子どもが義務教育をうけるための経済的保障として、公教育の無償、理念が掲げられています。

就学援助や教育扶助など、特定の児童・生徒に対して学校でかかる費用である「現金給付」の場合、実際にかかる費用に対する給付金の不足や、家庭における流用のような問題が生じがちです。現金給付は柔軟で即効性があるが、時々の自治体の判断で予算が削減されやすい問題があります。

また、子どもたちの成長や発達に必要な教育という営みに、真に必要な教材や教具、体験活動が子どもたちのもとに直接届ける、「現物給付」は制度として安定し、格差を縮小しやすい面があります。

すべての子どもたちに学習権があります。本市の宝である、すべての子どもたちに、同じように学び成長できる環境をつくっていくために、教育費の無償化は学ぶ権利の保障として、教育予算の拡充とともに、教育費負担の削減へ不断の努力を求め、このテーマの質疑を終わります。

2,学校再編について

次に、学校再編について伺います。

新年度の職員体制及び組織について、市長記者会見では、人的リソースを強化して実施する事業の1つとして「学校再編」を掲げ、「子どもたちの良好な教育環境の確保にむけて、地域との合意形成に向けた取組を行う」とされています。

今年度、3回開催されたの総合教育会議において、いずれも学校再編を議題に議論が交わされています。「学校を拠点としたまちづくり(地域とともにある学校)」を具現化するため、地域住民により構成される学校運営協議会を中心に検討を進めることを今後の進め方の基本としています。また「市立小中学校再編基本方針」では、中学校区を基本単位として再編を検討する、地域の拠点づくりや各種公共施設との複合化を基本とすること、さらに再編により学校の適正規模を図る3点を基本方針としています。

ここでは、学校再編における学校の適正規模、公共施設との複合化について今後の進め方について順次、伺います。

【質問】はじめに、なぜ学校再編なのか?

現状変更が必要な理由について、市教委としてどのようにとらえているのか、伺います。

【答弁】 今回着手する再編については、児童・生徒数の減少に伴い、良好な教育環境を確保するために進めるものです。この他校舎の老朽化も進んでおり、校舎の建て替えを契機とした再編についても併せて検討しております。

 

2022年12月に策定された「市立小中学校再編基本方針」では、良好な教育環境の維持とともに、学校再編にあたり、学校の小規模化や施設の老朽化の課題をあげています。

さらに、今年度の総合教育会議で議題となった「今後を見据えた八王子市の学校教育」では、「義務教育を通して主体的に参画する力」の育成や「自立」を促す教育の実現に向け取り組んできた「キャリア教育」の充実にむけ「児童生徒が一定の規模の集団の中で学ぶ」「学校の環境整備」が必要としています。

学校再編における課題、理由にキャリア教育の推進が1つの大きな柱に位置付けられているように見て取れます。

教育環境の向上に「一定の規模の集団の中で学ぶ」ために「適正規模」が必要だと、これまでも議論されてきました。

今回、小規模校を対象に、特に複式学級の解消について再編のスケジュールを示したほか、他の小規模校においては、適正規模の確保に向け、学校運営協議会を中心とした意見交換に着手するとしています。

【質問】この適正規模の根拠についてご見解を伺います。

【答弁】 学校教育法施行規則では小学校の学級数は12学級以上18学級以下を標準としております。また、文部科学省でも「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」でこの学級数を望ましい規模としており、本市においてもこれに準じております。

 

2015年1月に文科省は、58年ぶりに「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引き」を公表しました。そこでは、「学校の小規模化に伴う教育上の諸課題がこれまで以上に顕在化」(3㌻)したことから新たに小規模校を「適正規模」にする理由が挙げられています。「児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力しあい、切磋琢磨することを通じて思考力や表現力、判断力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身につけさせること」が重要となり、一定規模の集団、バランスのとれた教職員集団が「望ましい」というものです。

しかし「協働型・双方向型の授業革新」のために「班活動やグループ分けのパターン」が求められるとしながらも、教育学的な根拠が示されていません。また「手引き」の概要を示すパンフレットでは適正規模・配置の目安に「クラス替え」の可否を強調し、学校規模と教育的効果について相関関係は検証されていません。

他方、手引きでは「小規模校を存続させる場合の教育の充実」として、「学校を当該地域コミュニティの存続や発展の中核的な施設と位置づけ、地域を挙げてその充実を図ることを希望する場合」、教育の機会均等を確保する観点から、小規模であることのメリットを最大限に生かし、児童生徒への教育を充実させる方策が重要とし事例が挙げられています。

国は公立小学校・中学校の適正規模にしていく方針を示しながらも、地域が望めば小規模校でも存続させることは否定していません。むしろ小規模校ならではの良さを活かして教育を充実させることができることを示しています。

本市の学校再編の議論は、小規模校の再編・統廃合を前提とした議論に偏り「小規模でも存続する」ことへの検証が極めて薄いことを指摘申し上げたいと思います。

また学校再編は、言うまでもなく当事者である、子どもたちにとって大きな影響を与えます。子どもの権利条約における子供の意見表明権に「自己の権利を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と定められています。学校再編を考えるにあたり、子どもの声をどのように反映させていくのか、この視点も考えていただきたいと思います。

【質問】次に、学校再編における適正規模の基準を満たす、または近づけるという理由で学校再編を進めるにあたって教育的観点からの根拠について伺います。

【答弁】学校教育は、社会で生き抜くための基礎的な学力を身に付けるとともに、卒業後も地域の一員として生きていくことを踏まえ、義務教育9年間を通じ、一定規模の集団の中で社会性や人間性を育むことを目的としております。また、地域とともにある学校という理念の実現に向け、市内に偏ることなく中学校区という地域単位に配置することを基本としております。

 

ご答弁をいただきましたが、学校再編が子どもたちにとって、どのような教育学的な根拠、効果があるのか、なぜ小規模校はダメなのか、今一つはっきりしていません。

1950年代における昭和の大合併を背景に、1958年「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令」が制定され、統合校舎建設の場合、2分の1が国庫負担とされました。自治体合併とともに学校統廃合が行われ、その際、8000人規模の自治体に1中学校が行政効率性から望ましいとされ、その場合の中学校の学級数「12学級以上18学級以下」が現在の、学校教育法施行規則41条における「標準」学級とされました。

しかし、1957年の統廃合「手引き」では「子どもの成長・発展にとって小規模校は問題は教育的効果が低い」といった今日的理由が挙げられませんでした。

さらに1970年代の高度経済成長期に大都市への人口集中を背景に過疎地対策緊急措置法によって統廃合の国庫負担が2分の1から3分の2まで引き上げられた時期がありました。しかし、「12学級以上18学級以下」に達しない学校への機械的な統廃合が社会的問題となり、1973年に文部省は「小規模校には教職員と児童生徒との人間的触れあいや個別指導の面で、小規模校として教育上の利点も考えられる」との通達がだされました。

学校統廃合の議論は、時々の社会背景のもと、効果効率を優先し、子どもの成長・発達を保障する視点が抜け落ちているように思います。

次に、公共施設等総合管理計画の視点から学校再編の進め方を伺います。

学校統廃合の現局面は、公共施設等総合管理計画が、学校統廃合の強いインセンティブになっているように思います。

本市の公共施設等総合管理計画は、「公共施設の改修・更新に多くの費用を要することが見込まれるため、施設総量の適正化に向けた延床面積20%の縮減」を掲げています。特に市有施設の延床面積約6割を占める学校教育施設を「教育環境の充実を図る観点から適正規模化を進める」こと、また「他の施設との複合化を図る」ことを重視しています。

【質問】公共施設マネジメントの観点から、学校施設の複合化についてどういった考え方で取り組んでいるのか、ご見解を伺います。

【答弁】 学校施設の複合化は、公共施設等総合管理計画に掲げます「地域の拠点である学校施設の更なる活用を図り、より身近な公共施設へ」の基本理念を踏まえ、児童・生徒の学習環境の向上はもとより、地域コミュニティの活性化につながるものとなるよう取組んでいるところです。

 

学校教育法における学校、児童福祉法における保育所、図書館法における図書館など各分野の公共施設は、それぞれ個別の法律が存在意義と役割を定めています。それぞれの公共施設を法律によって存在意義を規定しているのは、それぞれの公共施設が基本的人権の保障につながるためにあります。

目的の異なる施設を「複合化」することによる職員の負担や子どもの教育活動にあたえる影響を懸念するものです。また自治体の財政事情を理由に、目的と存在意義がことなる公共施設を複合化することで基本的人権の後退があってならないことを申し上げたいと思います。

「公共施設等総合管理計画」では、学校施設の複合化にあたって、子育て支援施設など施設類型型の複合化の効果を示しています。

【質問】学校施設を複合化することの効果をどのように考えているのか、伺います。

【答弁】複合化の効果につきましては、例えばコミュニティ施設や子育て支援機能などと複合化することにより、子どもたちが多様な世代と交流する機会が生まれ、学びの幅が広がるなど、教育活動の一層の充実が図られるとともに、多世代が日常的に集う拠点となることから、地域コミュニティの活性化に寄与するものと考えております。

 

「施設類型別の複合の効果」をみると、例えば子育て支援施設と学校の複合化の場合、職場体験や家庭科の授業に使えるなど、その可能性はあるだろうが、やはりここでも子どもたちへの教育学的視点が弱く、施設そのものの効果効率に重きをおいた、これまでの学校再編の考えと変わらないように思います。

学校は「平等な公共サービスを提供するもの」ではありますが、歴史的に地域コミュニティと結びついて形成されてきた、独自の特色や文化を持っています。特色ある教育内容や方法、習慣的に積み重ねられた多くのものは、子どもの成長や発達にとって大きな役割を果たしています。

「削減」目標ありきの再編・統廃合は、地域独自のコミュニティや文化を一瞬で失わせるリスクがあり、学校再編におけるまちづくりに「効率性」を重視することに大きな懸念を抱きます。

学校の主人公である子どもの憲法上の権利としての学校施設の再編が子どもの教育を受ける権利を後退させてはなりません。

学校は、歴史的に地域コミュニティの中核であり、地域の文化形成の中核としての育んできた意味を持ちます。地域における学校の価値、地域社会を持続させることの意味について、地域住民、子どもたちが共同の主体となってすすめていくことを申し上げ総括質疑を終わります。


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