2026年第1回定例会_予算等審査特別委員会|総括質疑|2026年3月6日 望月しょうへい

【予算等審査特別委員会】総括質疑2日目

3月6日(金)10:00開会

質問者:望月しょうへい

発言順:2番目(11:30頃登壇予定)


《質問項目》

1,国民健康保険税について

(1)国民健康保険制度の位置づけ

(2)構造的課題と今後の動き

(3)高すぎる国民健康保険税の負担軽減に向けて

2,八王子市高齢者聞こえのコミュニケーション事業

―― 補聴器購入費助成について

(1)昨年度実績と評価

(2)制度の出発点

(3)なぜ助成額が減額となるのか

(4)利用しやすい助成制度に向けて


 

日本共産党八王子市議会議員団の望月翔平です。

今回の総括質疑では、国民健康保険税と補聴器購入費助成金の二つのテーマについて順次伺っていきます。

1,国民健康保険税について

はじめに、国民健康保険制度の基本的な位置づけについて伺います。

国民健康保険は、すべての国民が何らかの医療保険に加入するという「国民皆保険制度」の下、自営業者や非正規労働者、無職の方々を中心に加入しています。国民健康保険法第1条には、「社会保障及び国民保健の向上に寄与すること」がその目的として明記されています。

まさに、この制度は日本国憲法が保障する生存権、つまりすべての国民が健康で文化的な生活を営む権利を支える基盤となるものと位置づけられています。一方で、公的医療保険制度は被用者保険、後期高齢者医療制度といった複数の制度がありますが、国民健康保険はその中でも年金生活者や低所得層を支える役割を担っています。

【質問】はじめに国民健康保険制度について、市長は、制度的な役割をどのように認識しているのか、基本的な考え方をお示しください。

【答弁】国民健康保険制度は、被用者保険等の適用を受けない国民すべてを被保険者とし、その疾病、負傷、出産、死亡に関して必要な給付を行い、社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする制度であると認識しております。

 

加入者にとって本当に制度の現状が社会保障及び国民保健の向上に寄与しているのかという点でもう少し具体的に認識について伺っていきたいと思います。

国民健康保険制度は加入者自身も保険税を負担しつつ、事業主負担がない代わりに一定額の公費支出が前提です。しかし、国庫支出が段階的に削減され、制度自体が直面する高齢化による医療費の増加もあり財政を取り巻く環境は深刻な状況です。このように国民健康保険制度は、加入者の高齢化や所得水準の低さ、医療費の増加といった構造的な要因に直面しており、財政運営は厳しい状況に置かれています。こうした現状は、保険料負担の増加を招き、それが保険税滞納もしくは保険税を支払うことで精一杯となり、結果として受診抑制につながるリスクにもなっています。

【質問】市として、こうした国民健康保険制度の運用状況は、憲法や国民健康保険法に示された目的と整合しているのか、もしくは現実との間に乖離があると認識しているのか、市の見解を伺います。

【答弁】国民健康保険法第1条に規定されている目的のとおり、基礎自治体は社会保障及び国民保健の向上に寄与するため、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、安定的かつ適切な運営を担う立場にあります。本市においても、保険給付の実施や国民保健の向上に資する取組を通じて、その役割を果たしているものと認識しております。

 

国民健康保険の特性についても確認します。

国民健康保険は、市長も述べられたように被用者保険等に加入していない方々が加入する制度です。市側からも様々な機会の中で、国保制度は社会保障制度における「最後のとりで」としての性格を有すると述べられてきました。まさに、社会保障制度の中心的役割として医療アクセスの確保に寄与してきました。国民健康保険は、特に所得が低い世帯や高齢世代の生活を支える役割を果たしており、その安定運営は市の重要な責務と考えられます。

【質問】市は、この制度の安定運営において具体的にどのような責任を果たすべきと考えているのか認識を伺います。

【答弁】国民健康保険は国民皆保険の最後の砦であり、持続可能な社会保障制度の確立を図るため、きわめて重要な役割を果たしていると考えています。本制度を安定的に運営するうえで、本市が果たすべき責任は多岐にわたります。第一に、財政基盤の安定化と公平な負担の確保です。第二に、予防施策や健康づくりの推進による医療費の適正化です。第三に、生活困窮者等に対する包括的支援の窓口としての役割です。本市といたしましては、これらの役割を着実に果たしながら、制度の持続可能性を確保してまいります。

 

国民健康保険の構造的な課題と今後の見通しについて伺います。今の答弁の中で財政基盤の安定化と負担の公平性の確保ということが責任の一つとしてあげられました。被用者保険等に加入していない方が加入する国民健康保険制度の財政は、慢性的な構造的課題に直面しているという認識は多くの方が共有していると思います。この課題は制度開始直後には、自営業の方が一定数加入していたものの、その後割合は減少し、現在は年金生活者が多くなってきているといった社会情勢の変化も大きく影響しています。

【質問】国民健康保険財政を取り巻く課題はこれまでも議論されているところですが、改めて市はどのような構造的課題があると認識しているのか、加入者の特徴や医療費動向を踏まえ、市の現状認識を示してください。

【答弁】国民健康保険には、無職の方や年金収入のみの方など、低所得者の方が多く加入しているという特性があります。また、加入者の平均年齢も高いため、一人当たりの医療費が被用者保険等と比較して高くなる傾向にあります。こうした構造的な要因により、収入に対して医療費等の支出が増えやすく、収支のバランスを安定的に確保することが難しくなっている点が課題であると認識しております。

 

2023年に市議会において全会一致で可決した国保の構造的課題に関する意見書でも示されているように、被保険者の所得水準に対し保険税の負担率が高いなど構造的な課題を抱えているという構造的課題を取り巻く見通しは、今後もより一層厳しい状況となります。すでに国は、社会保険適用拡大を進めており加入者の高齢化だけでなく加入者の減少も進んでいます。国保加入者の中で、比較的安定した収入の方は今後も社会保険へと移行していきます。同時に、国は新たに医療保険制度からこども子育て支援金分を徴収することを決定しています。それにより従来、3区分であった国保税の建付けが、新たに4区分となります。こども子育て支援金分の徴収割合は2028年度まで段階的に増えていく見通しでさらなる値上げ圧力が強まります。本市においては、来年度の国民健康保険税率および均等割額について、4区分あわせて据え置く提案をしています。

【質問】医療費の増加圧力が高まる中で、なぜ据え置きが可能であったのか、その要因を示してください。

【答弁】他市においては、従来の医療分・介護分・後期高齢者支援金分の税率を据え置いたうえで、新たに創設された子ども・子育て支援分のみを上乗せする対応をとっているとの情報も承知しております。本市においても、昨年度に東京都が示した仮算定の段階では、同様の方向性で検討していたところです。しかし、本算定においては、東京都が決算剰余金を活用したことに加え、保険者努力支援制度に基づくインセンティブを受けたことなどにより、結果として、税率・税額のいずれも据え置くことが可能となったものと考えております。

 

これまで、私ども会派では、国民健康保険の保険給付費の予算が執行されず、結果として多額の不用額が発生していることを指摘してきました。そのため、余剰金の活用は一定評価するものですが、別の視点からの検討も必要です。社会全体ではコロナ禍後も「感染ドミノ」という言葉があったように感染症が流行しました。これにより、当初は国保加入者の中でも医療需要が高まると考えられていた中で、実際には国保加入者の医療機関受診が想定よりも伸びなかったという状況があります。

【質問】この点について、市はどのように分析しているのか伺います。

【答弁】保険給付費につきましては、被保険者が医療機関を受診した際に、保険者として負担する費用を、国民健康保険団体連合会を通じて医療機関へ支払うものであり、東京都が公表しているインフルエンザの流行予測なども勘案しながら予算を見込んでおります。一方で、予算額に達していない理由といたしましては、高齢者の被保険者数見込と、一人当たり医療費の伸びが想定を下回ったことが挙げられます。

 

もし、一人当たりの医療費の伸びが下回っている原因が必要な医療を受けられていないということに原因があるとしたら、それは制度の根幹に関わる問題です。これまでも市からは、感染動向の見通しは難しいという答弁が繰り返されてきました。しかし毎年、多額の不用額が発生し都に多くの金額が余剰金として存在する状況は是正すべき点であり、市として声を上げるためにも原因を特定する努力が求められます。

【質問】市として、国保加入者の生活実態や受診抑制の有無について、実態調査を行うべきと考えますが、市の見解を伺います。

【答弁】保険税の負担額にかかわらず、被保険者の医療機関での窓口負担は2割または3割に設定されており、他の医療保険制度と変わらず、必要な医療は受けられていると考えております。なお、本市が実施している市政世論調査には、医療に関する項目もございますので、今後はその中で、受診行動や医療へのアクセス状況の把握について検討していきます。

 

他の被用者保険と同じ窓口負担割合だからこそ、むしろ受診抑制が生じるリスクが高いのではないでしょうか。これまでも確認しているように、国保加入者は被用者保険加入者と比較して低所得者が多く、事業主負担がないことや逆に被用者保険にない均等割があることで税負担が重いという課題があります。経済的に厳しい方ほど受診抑制が働くという結果は、国民生活基礎調査や各医療関係団体のアンケートでも明らかとなっています。市として検討するということですが、改めて国保加入者の生活実態、受診行動を把握することを強く求めます。

次に、今回市が提案したように保険税率等の据え置きにおける加入者の負担の変化についてです。

【質問】全体としての影響と、各モデル世帯における負担の増減を示してください。

【答弁】今回の改定では、新たに「子ども・子育て支援金制度」が創設されたことにより、その分については新たにご負担をお願いすることとなりました。一方で、本市では医療給付費分の税率・税額を引き下げたことから、年齢構成や世帯構成により差はございますが、モデル世帯の試算では、負担が減少する世帯は最大で約7,000円、負担が増加する世帯は最大で約1,700円となる見込みです。これらを踏まえると、負担が減る世帯と増える世帯の割合は、おおむね半々になると見込んでおります。

 

税率及び均等割額が据え置きとなったとしても約5割の世帯で負担増となります。またその負担増世帯には年金生活者も含まれており影響は深刻です。

【質問】各モデル世帯の負担水準について、市は支払い可能な水準であると認識しているのか、その判断の根拠を含めて伺います。

【答弁】モデル世帯として、給与収入400万円の夫婦と子ども二人の世帯で試算した場合、今回の改定案における国民健康保険税の負担は、可処分所得に占める割合が最大で約2割となります。この割合は小さくないものと認識しておりますが、国民健康保険制度を持続可能なものとしていくためには、必要なものと捉えております。被保険者の皆様には、制度内容や負担の考え方について丁寧に説明するとともに、納付にご理解いただけるよう取り組んでまいります。

 

市はこれまで、国民健康保険の安定運営のためには、都が示す標準保険料率の適用が必要だという立場を取ってきました。しかし、実際に標準保険料率を適用しても、いわゆる赤字解消は実現せず、結果として被保険者の負担増が継続されています。

【質問】この点について、市はどのように受け止めているのか伺います。

【答弁】東京都から示される標準保険料率につきましては、過去3か年の所得総額や被保険者数の平均値などに基づき算定されます。一方で、基礎自治体におきましては、直近の所得総額や被保険者数から税率・税額を算定しており、両者の間に乖離が生じることもあります。しかしながら、令和8年度につきましては、実質的に税率を据え置いたことで、被保険者の皆様の負担増を抑制することができたものと受け止めているところでございます。

 

今回負担減となる世帯であっても、社保と比較して国民健康保険税負担が重すぎるという課題は解消されていません。そもそも、国民健康保険の負担が重くなっている大きな要因として、国庫負担の引き下げやその後の財政支援の不十分さがあります。子どもの均等割軽減拡大など一定の財政支援が行っていますが、自治体側からも国庫負担の抜本的な拡充や制度改善を求める声が挙がっています。この点について先日の代表質疑で、市長からも要請を行っている旨の答弁がありました。

【質問】具体的に、本市はこれまで国や都に対してどのような要請や行動を行ってきたのか内容をお示しください。

【答弁】本市といたしましては、全国市長会、中核市市長会、東京都市長会を通じて、国に対し、国民健康保険制度の安定的な運営に向けた財政支援策の新設を要望しているところでございます。具体的には、国保財政の基盤強化を図るため、国の公費負担割合の拡大を求めるとともに、子育て世代の負担軽減策の一層の充実を要請しております。さらに、住民の健康維持・増進に直結する特定健康診査および特定保健指導事業につきまして、その実効性を高めるための財政措置の拡充についても要望しているところでございます。

 

【質問】今お答えいただいたような市を含む地方の要請を受けて、国や都は国民健康保険に対する抜本的な支援拡充を行っていると市は認識しているのか伺います。

【答弁】国は、これまで地方自治体に対して3,400億円の財政支援を講じてきたほか、保険者努力支援制度の拡充など、国民健康保険財政の安定化に向けた取組を進めてきたところでございます。しかしながら、基礎自治体が担う役割や財政負担の大きさを踏まえますと、現行の支援だけでは十分とは言い難い状況にあると認識しております。そのため本市といたしましては、引き続き、全国市長会等と連携しながら、国に対してさらなる財政支援の拡充を求めて要望を行っているところでございます。

 

今後は先ほど述べたように、社会保険の適用拡大が進展し、比較的安定した所得層が国保から移行していくことが見込まれています。また、新年度からはこども子育て支援金が国民健康保険を含む各医療保険制度から徴収されます。

【質問】これらの動きが国民健康保険財政にどのような影響を与えると見通しているのか、市の見解を伺います。

【答弁】子ども・子育て支援金につきましては、市が保険税として徴収し、東京都を経由して国に納付する仕組みとなっているものでございます。このため、被保険者の皆様には一定の負担増という影響が生じるものの、本市の国民健康保険財政に対して直接的な影響を及ぼすものではないと認識しているところでございます。

 

国の政策がただでさえ重い加入者のさらなる負担を前提としています。その影響で都の余剰金を今回全額活用しても納付金は増えていることをみても影響は今後も大きいと考えます。

続いて、高すぎる国民健康保険税の負担軽減について伺います。

これまで確認してきましたように、国や都による抜本的な支援拡充が十分でない状況にあって、市の役割が改めて問われています。

【質問】市はこれまで負担軽減のための法定外繰り入れを段階的に削減し、昨年度からはゼロとしていますが、改めて法定外繰り入れを行い、保険税負担を軽減すべきと考えます。市の見解を伺います。

【答弁】これまで一般会計からの赤字繰入とその解消に向け、全ての市民の皆様にご負担いただきながら、段階的に東京都の示す標準保険料率の適用を進めてまいりました。令和7年度からは、東京都から示される納付金に基づき算出した赤字が解消する税率及び税額を適用することで赤字解消が達成されました。今後も安定的な運営のため、赤字の解消を進めてまいります。

 

赤字といいますが、国保制度はそもそも公的支出前提で成り立つ制度です。同時に社保の適用拡大やこども子育て支援納付金の拠出は国が決めたことで加入者の責任でもないことは明確にしておきたいと思います。

【質問】そのうえで伺いますが、来年度の提案を踏まえ、全ての区分を据え置いた場合に必要となる財源はいくらになるのか、示してください。

【答弁】全ての方の税額を据え置くとした場合ですが、赤字繰入が必要となり、赤字解消によるインセンティブ型の補助金も減少となります。その結果、およそ2億~3億円の財源補填が必要となる見込みでございます。

 

約3億円の繰り入れを行えば少なくとも据え置きが可能です。ちなみに市は2018年度に約34億円負担軽減のために繰り入れを行っていましたが、どんどん削減し、昨年度からは1円も入れていません。

市は、法定外繰り入れを行わない理由の一つとして、保険者努力支援制度による支援金いわゆるインセンティブの存在を挙げています。実際に本市では昨年度、約2.2億円の支援金を受けとっており、これを国保加入者に還元できると請願審査などでも述べていますが、加入者一人当たりでは約2000円です。また仮に繰り入れを行えば、この支援金が受け取れなくなるのではという懸念を抱く方もいます。保険者努力支援制度は細かい評価項目に分かれ、繰り入れを行わない点はその評価の一項目となっています。そこで伺います。

【質問】もし仮に市が法定外繰り入れを行った場合、支援金が一切受け取れなくなるのか制度の仕組みを明確にお示しください。

【答弁】保険者努力支援制度交付金につきましては、全部で12項目の指標に基づき評価され、交付額が決定される仕組みとなっております。そのうち、赤字解消に係る指標は一つの項目に位置づけられているものでございますので、全てが受けられなくなるわけではございません。

 

実際に繰り入れを行っている他市でも保険者努力支援金は一定額受け取っています。また評価項目には検診受診率の向上などもありますが、本市は医師会など医療関係者の協力も得て、健診受診率向上など健康寿命の延伸に資する取組も強化しています。その点は評価し、今後も大いに進めていただきたいと思います。一方で、保険者努力支援制度の支援金は市町村に割り当てられる総額が定められており、全国の自治体で評価点に応じて配分を競う仕組みです。

【質問】今後、全国的に取組が進むことで、本市が受け取る支援金が減少する可能性があると考えていますが、市はどのような見通しを持っているのか伺います。

【答弁】現行の保険者努力支援制度におきましては、相対評価方式が採用されているため、各自治体が努力を重ねた場合であっても、全体の分布によっては評価が伸び悩む可能性がございます。こうした点から、制度の在り方として一定の懸念が生じるものと認識しているところでございます。そのため、本市といたしましては、自治体の取組がより適切に評価されるよう、指標の絶対評価化を国に対して要望してまいりたいと考えております。

 

相対評価である以上は、安定した財源でもないことが分かりました。

最後に市長に伺います。

加入者にとって重要なのは、一人当たり数千円規模の不安定な支援金よりも、根本的に高い国民健康保険税そのものの引き下げです。現在社会保険に加入されている方の多くも、高齢となり退職なった場合には国民健康保険に加入されます。高齢になればなるほど病気の罹患率は増えていきます。まさに国民健康保険は、現在社会保険に加入されている方も含め、命に直結する医療保険制度です。

【質問】国民健康保険制度の構造的課題を理由に、市としてできることを限定するのではなく、加入者の生活実態に即して負担軽減に踏み出すことが自治体の責務であると考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】国民健康保険における、市町村の責務は、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項、保険料の徴収、保健事業の実施、その他の国民健康保険事業を適切に実施することです。事業を適切に実施するためには、健全な運営が必要です。そのため、これからも赤字解消に努め、制度の安定的かつ持続的な運営を行ってまいります。

 

都道府県化後の市町村の責務は承知しています。しかし、国保制度を東京都とともに運営する市として、単に事業を執行するだけでなく社会保障の担い手としての責任も同時に求められています。加入者の生活実態をとらえるよう今回も求めましたが、加入者の生活実態に即して市が可能な範囲で負担軽減を行うことは冒頭確認した法の趣旨にも合致するものです。改めて、安心して医療が受けられる社会保障制度となるよう、国保税の負担軽減は必要不可欠であることを指摘し、次のテーマに移ります。

2,高齢者の補聴器購入費助成について

つづいて補聴器購入費助成金について伺います。

今年度から、本市では65歳以上の高齢者を対象とした「補聴器購入費の助成制度」を新たに開始しました。対象者は八王子市に居住する満65歳以上の方で、身体障害者手帳(聴覚障害)を有していないこと、両耳の聴力レベルが40デシベル以上であり、補聴器の装用で聴覚機能改善の効果が期待できると医師が判断される方です。助成額は補聴器購入費用のうち上限50,000円までで、50,000円を超えた部分について助成されます。

【質問】改めて、今回の補聴器購入費助成制度を開始した目的と意義について市の認識を伺います。

【答弁】本制度は、日常生活の中で「聞こえにくさ」を感じている高齢者に対し、早期の医療受診や補聴器の活用を促すことを目的としており、聞こえにくさに起因するコミュニケーション機会の減少を防ぎ、介護予防につなげることに制度の意義があると考えています。

 

この事業は市民からの関心も高く、申請件数が当初の想定を大きく上回っています。昨日の委員会でも他の委員から質問がありましたが、第1次、第2次申請はいずれも、開始から1か月で定員に達し、今年度の交付決定者を事前に確認したところ当初の見込み200名をこえて最終的に483名、交付総額は約2400万円とのことでした。

【質問】この状況について、市はどのように受け止めているのか事業に対する評価を伺います。

【答弁】事業開始当初は、他市における補聴器購入費助成の実績を踏まえ、200名に対する助成を想定しておりました。想定を大きく上回る申請をいただいたことは、難聴に起因する困りごとを抱える高齢者の多さと補聴器のニーズの高さを示す結果であると捉えています。

 

聞こえに対する支援の重要性は様々な観点から触れられています。ヨーロッパなどでは難聴を放置することはうつ病や認知症リスクにつながり、早期の補聴器装用が重要だと言われています。本市としても独自の調査などを踏まえ、生活機能や口腔機能などの健康リスクとの関連性や社会参加の意欲低下といった精神的な機能低下にもつながるといったことがこれまで答弁されています。

【質問】この点について、改めて市はどのような認識を持っているのか伺います。

【答弁】高齢者の社会参加の阻害要因の一つである聞こえづらさを解消することは、認知症予防を含む介護予防の観点において、大変重要であると認識しています。

 

【質問】補助額については、医師などの有識者の意見も踏まえ、使用し続けられる有効な補聴器の価格帯を考慮し、実効性を持たせる水準として上限5万円が設定されたと認識していますが、その認識で間違いないか伺います。

【答弁】他者との円滑なコミュニケーションを図る上で有効な機能を持つ補聴器を購入いただくため、5万円を超える補聴器を助成対象としています。

 

【質問】一定の性能をもつ補聴器を適正に使用することが利用者にとっても重要だということは様々なレポートからも明らかになっています。そのうえで今回、補助額が5万円から3万円に減額される提案となっていますが、その理由を具体的に伺います。

【答弁】令和7年度に想定を大きく上回る申請をいただいたことを踏まえ、限られた財源の中で、より多くの高齢者の方に早期受診・補聴器購入をご検討いただくことを促す必要があると考えたため、令和7年度を大きく上回る当初予算額を計上した上で、補助上限額を減額と判断いたしました。

確かに、数字だけで見ると助成金総額は500万円増加しました。また所得制限を設けず、広く高齢者に支援を届けようという制度設計は評価しています。しかしながら、3万円まで補助額を引き下げることで、確かに制度を利用できる人数は増えるものの一人当たりの支援効果は薄まることになるというジレンマを抱えています。

【質問】市は、人数の拡大と支援の実効性のどちらを優先すべきと判断したのか、その考え方を伺います。

【答弁】補聴器購入費助成をとおして介護予防を推進することに意義がありますので、引き続き所得制限は設けず、より多くの高齢者の方に助成を受けていただくことで、多くの方の社会参加の阻害要因を取り除くことを優先すべきと考えております。

 

多くの方に助成を受けてもらうことを優先したということで、本当に多くの方に必要な支援が届くのかという視点で伺います。2019年9月の一般質問の中でも紹介いたしましたが、日本共産党都議団で聞こえに関するアンケートを実施しました。そのアンケートでは、補聴器を購入しなかった一番の理由に挙げられたのは、価格が高いということでした。実際に、アンケートの中での補聴器購入価格の平均は片耳両耳購入者をあわせて約27万円でしたが、最も高い方では100万円という方もいました。いずれにしても、価格が最大のハードルであり必要とする方が早期に補聴器を装用するうえで必要な支援は購入費への補助です。

【質問】今回の補助額引き下げによって、本来補聴器を必要としている方であっても、自己負担の増加により購入を断念する方が出る可能性は十分ありますが、市はこのようなリスクについて検討したのか伺います。

【答弁】令和7年度の助成事業においては、交付決定者483名のうち、10万円から20万円の補聴器を購入した方が約36%、20万円以上の補聴器を購入した方が約52%いらっしゃいます。このデータは、自己負担額よりも、ご自身に合った機能性を重視して補聴器を選択される傾向が強いことを示しているものと考えており、補助額の引き下げによって購入を断念する可能性は低いと見込んでおります。

 

今ご答弁いただいた購入価格帯20万円前後が、利用者のニーズだということであれば、自己負担額がさらに増えることでむしろ経済的に苦しい方ほど断念すると思います。実際に、市が2024年にてくポ利用者に対して行ったアンケート調査でも購入を検討するうえで性能とともに価格も大きな判断要素となっています。そして自己負担で購入可能な補聴器の上限価格帯として1~5万円未満または5~10万円未満と回答した方が、回答者の75%を超えています。こういう方々は支援から遠ざかるということになるのではないでしょうか。

【質問】制度の本来の目的が、先ほど確認したように有効性の高い補聴器を装用することで聞こえの改善を行い、生活の質や社会参加を支えることにあるとすれば、3万円に減額することについて合理的な根拠はないと考えますが、市の考えを伺います。

【答弁】他市の助成内容や実績を調査したところ、5万円未満の助成上限額を設定した場合であっても、一定程度の助成実績が出ており、助成額の減額後も事業効果は見込めるものと考えております。

 

購入できた方の動きだけでなく、購入を断念する方の動向も把握すべきだと考えます。来年度の動きとして私が把握している中では、助成額を倍にする提案を行っている自治体もあると聞いています。市としても補聴器購入費助成を行うにあたって独自のアンケートも行って準備してきたわけですから、1年で後退させるのではなく利用者の実態に即して支援を行うべきということを改めて求めます。

 

続いて、利用しやすい補助制度に向けて市民の声を踏まえて伺います。

【質問】補聴器を早期に活用するためには、先ほども述べたようにまず価格のハードルを下げることが重要です。その上で、使い続けるためには定期的な調整が不可欠だと考えますが、補聴器における調整の重要性について、市の認識を伺います。

【答弁】補聴器は、使用される方の聞こえの状態や生活環境によって適した設定が異なるため、補聴器を有効に活用し続けていただく上で、調整を重ねることが重要であると認識しています。

 

補聴器は、購入後も継続的な調整が必要であることから、調整しやすい店舗で購入できる環境が重要です。実際に、数年前に補聴器を取り扱ういくつかの店舗に電話で聞き取りをさせていただきました。調整の頻度は人それぞれですが、最も多い方だと購入後、毎週のように調整に来られる方もいるそうです。こうしたことからも調整しやすい店舗で購入することが継続的に補聴器を活用するうえで重要となります。本市は広く、生活圏域も異なります。

【質問】そこで、近隣市を含めて対象店舗を拡大していく必要があると考えますが、この点について市の認識を伺います。

【答弁】八王子市では、補聴器販売店のご協力によるオンライン申請を採用するなど、高齢者の申請手続きの手間を最小限に抑える工夫をしています。今後の対象店舗については、認定補聴器専門店または認定補聴器技能者の在籍を前提としつつ、簡素な申請手続きを維持できる協力体制の確保も必要と考えております。

 

簡素な申請手続きは対象が高齢者という点でも重要だと思います。一方で市内の限られた店舗のみを対象とした場合、利用者の移動や調整に関する負担が増え、結果として継続的な調整が行われなくなるリスクもあります。

【質問】市はこうしたリスクを認識しているのか伺います。

【答弁】継続的な補聴器の調整を行わないことが、補聴器の使用中断につながる原因となり得ることは把握しております。補聴器購入費の助成を受けた方に対しましては、購入時及び購入後6か月時点でアンケートを実施し、補聴器の継続的な使用状況などについて調査を進めております。

 

市外の店舗に拡大した場合でも、理解と協力をいただければオンライン申請の体制が取れないということでもないと思いますので、ぜひとも対象店舗拡大を前向きに検討いただきたいと思います。

市はこれまでもフレイル予防の重要性を認識し、取組を進めてきました。また、聞こえづらさが社会参加の阻害要因となり、健康寿命の延伸にも影響を及ぼすことは、これまでの議会でも確認してきました。その支援の一つが補聴器購入費助成であると考えますが、補助額の減額によって補聴器購入のハードルが高くなれば、制度の有効性は薄れかねません。

【質問】そこで最後に副市長に伺います。

補助額を拡充し、より利用しやすい制度構築を行うことで、補助制度の有効性を高める方向で見直すべきだと考えますが、補助額の拡充や制度改善についての見解を伺います。

【答弁】今後も引き続き、補聴器購入費補助による介護予防効果を検証するとともに、介護予防・フレイル予防に関する事業全体の連動により、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと生活していくための支援に取り組んでまいります。

 


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