2025年第4回定例会本会議|第152号議案および第153号議案に対する反対討論|2025年12月18日 望月しょうへい
それでは、第152号議案および第153号議案について、日本共産党八王子市議会議員団を代表し、反対の立場から討論を行います。
まず、今回の条例改正のきっかけには、市職員による通勤手当の不正受給問題があります。本件について市は、特定の職員個人の問題として矮小化するのではなく、組織的な課題として捉え、職員の萎縮を招かないよう配慮しながら再発防止に取り組むとの姿勢を示してきました。
また、行政組織における不祥事対応に関する研究においては、過度な個人責任の追及や処分強化は、不正が起きた際に原因の解明や改善よりも、責任回避や自己保身を優先する組織体質を生み出し、職員の萎縮を招くリスクがあるとされています。結果として、不正の早期発見や是正が困難になるという点が指摘されてきたところです。こうした指摘を踏まえてみますと、今回の条例改正についても、現行制度の運用において重大な支障が生じているとは言えない中で、職員個人に対する処分規定の強化が前面に出ている印象を受けます。これは、市がこれまで示してきた「組織としての再発防止」という方針とは異なるメッセージを職員に与えかねず、結果として組織全体の萎縮を招くおそれがあり問題です。
次に、分限処分における降給規定およびその運用上の問題について述べます。
改正案では、勤務実態が良くない場合に新たに降給を可能としていますが、「勤務実態が良くない」とは何をもって判断するのか、その具体的な基準や判断枠組みが条例上、明確に示されていません。地方公務員の人事管理に関する研究や判例を見てみますと、分限処分について任命権者にある程度の裁量権はあるものの、処分や不利益措置に関する基準が不明確な場合、恣意的な運用の温床となり、職員の不信感を招くとともに、訴訟リスクや裁量権の行使についての違法性を高める危険性が指摘されています。
すべてを条例に書き込むことが困難であることは承知しています。しかし、最低限の判断基準や考え方を示さないまま、多くを内部の規定に委ねることは、議会によるチェックが及ばない領域を拡大することにもつながります。その結果、降給が実質的に懲戒処分の代替として用いられるなど、本来想定されていない運用が行われる可能性が否定できず、看過できない問題です。
また、懲戒処分において、減給割合を現行の1割から2割へと引き上げる点についても、重大な問題があります。給与は言うまでもなく職員の生活の基盤であり、行政がこれに直接影響を与える措置は、極めて慎重に行われなければなりません。
行政組織の信頼回復や再発防止を目的とするのであれば、まず取り組むべきは、制度やチェック体制の見直し、そして職員が問題を指摘しやすい職場環境の整備です。減給割合の引き上げが、その目的に資するとは考えにくいものです。
むしろ、過度な処分強化は職員の士気低下や萎縮を招き、結果として再発防止に逆行するおそれがあります。
現在、本市では外部委員を交えた第三者検討会が開催されている最中です。まずは第三者を含めて事実関係の全容を解明し、問題点を明確にしたうえで、市として再発防止に向けた考えを取りまとめるべきです。第三者検討会が終わる前に、処分の強化のみを先行させることには、強い疑問を抱かざるを得ません。
以上のことから、今回の条例改正は、市が目指す方向性が職員にとっても分かりにくく、誤ったメッセージを伝える可能性が高いと言わざるを得ません。その結果、組織全体の健全性を高めるどころか、萎縮とリスクを拡大させかねない点を強く指摘し、第152号議案および第153号議案に反対するものです。
以上で反対討論を終わります。
【議案に対する各会派・議員の態度】
※1)敬称略
※2)美濃部弥生議員は議長のため採決に加わらず
○賛成32名
(自民党)長谷川順子、内田由香利、立川寛之、西室真希、岸田功典、小林秀司、川村奈緒美、吉本孝良、福安徹、岩田祐樹、鈴木レオ
(公明党)古里幸太郎、森重博正、日下部広志、冨永純子、渡口禎、中島正寿、久保井博美、五間浩、村松徹
(立憲民主)浜野正太、九鬼ともみ、森喜彦、安藤修三、小林裕恵
(諸派)舩木翔平、高橋剛、玉正さやか、金子アキコ、山本貴士、及川賢一、星野直美
✕反対5名
(共産党)綿林夕夏、望月翔平、市川克宏、石井宏和、鈴木勇次



