2025年第4回定例会本会議|補正予算等に対する会派代表質疑|2025年12月5日 市川かつひろ
【本会議5日目】補正予算等に対する会派代表質疑
12月5日(金)10:00開会
質問者:市川かつひろ(10:50頃登壇予定)
《質問項目》
1 ,第152号議案、職員の分限に係る手続及び効果並びに失職の特例に関する条例の一部を改正する条例設定について
(1)降給処分の規定による「職員の身分保障と行政の効率性」のバランス
2,第153号議案、職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部を改正する条例設定について
(1)減給割合の上限引き上げの目的
3,第158号議案、八王子市図書館条例の一部を改正する条例設定について
(1)指定管理者制度による管理・運営の影響
4,第163号議案及び第164号議案、財産の減額貸付について
(1)公私連携型保育と今後の保育運営
5,第175号議案ないし第179号議案、八王子市立学童保育所の指定管理者の指定について
(1)指定管理者制度と「公設の学童保育所」としての取組
ただいま上程されております各議案につきまして、日本共産党八王子市議会議員団を代表して質疑を行います。
はじめに、第152号議案「職員の分限に係る手続及び効果並びに失職の特例に関する条例」の一部を改正する条例設定についてです。
分限処分は、職員の身分保障と行政の効率性のバランスを取るための制度であり、条例・規則に基づいて運用され、主に「病気休職」や「組織改編による免職」が実務上の中心となっており、本市の条例では、休職の規定をもうけています。本議案では、職員の公務能率の維持向上を図るため、あらたに「降給」の処分を規定するものです。降給の事由に「職員の勤務実態がよくない場合」においては、その意に反して降給することができる、とありますが、「勤務実態」の把握と判断が恣意的にならないのか懸念されます。また分限処分と懲戒処分との境界が曖昧になり、分限処分が懲戒処分的に運用されてしまう危険性があることも指摘されています。本条例の一部改正にあたって市側は、東京都の制度規定にあわせるとしていますが、都内の自治体で降給規定がある自治体は多摩26市では7市のみです。
そこで市長に伺います。
分限処分とは、「職員の身分保障と行政の効率性」のバランスを取るための制度であります。今回、あらたに「降給」の処分として規定することで、「職員の身分保障と行政の効率性」のバランスにどのような効果が得られるのか。また職員を守る視点とあわせて、職員の公務能率の維持向上と、どのような関係が図られるのか、あわせてご見解を伺います。
次に、第153号議案「職員の懲戒の手続及び効果に関する条例」の一部を改正する条例設定についてです。
本議案は、地方公務員法第29条を根拠に、懲戒処分の手続きとその効果を定めており、 本条例の第3条(減給の効果)において、減給をおこなう減額割合の上限を10分の1から5分の1に改めるとしています。本市職員の通勤手当・不正受給の事案が影響していると推察します。また今回の改正は、国や東京都の規定にあわせるとも聞いております。しかし、多摩26市の中で10分の1から5分の1に減給を規定しているのは、9市に過ぎません。職員の公務能率の維持向上および組織の効果向上に資するとともに、職員の権利保障と市民への説明責任を両立することもみておく必要があると思います。
そこで、市長に伺います。
減給額の引き上げは、より厳罰化を強化し、そのことが職員を萎縮させないか、効果効率性の高い職務を遂行できるのか、そのために寄与するのか、懸念を抱くものです。ご認識を伺います。
また、減給割合の上限を5分の1に引き上げることが、「公務の規律と秩序を維持する」目的と本条例改正がどのようにつながるのか、あわせてご見解を伺います。
次に、第158号議案、八王子市図書館条例の一部を改正する条例設定について伺います。
図書館は、教育基本法において「社会教育の振興に努めなければならない」とされています。また図書館は、人々がこれまで積み上げてきた、様々な知識や情報を多様な観点や立場に留意しながら資料として収集し、利用者に提供する機関であるとともに、市民が自由に学ぶ権利を保障する社会教育の場でもあります。八王子市図書館条例は、昭和59年(1984年)に制定され、市立図書館の設置・運営・利用に関する基本的な枠組みを定めています。
本議案では、八王子駅南口集いの拠点(桑都の杜)整備・運営事業における「八王子市憩いライブラリ」の設置にともない、指定管理者制度を導入し、図書館条例・第11条「指定管理者による管理」では図書館の管理を指定管理者に行わせることができる、と規定し、さらに第12条「指定管理者の指定」を新たに追加しています。いうまでもなく、指定管理者制度の最大の特徴は、「利用料金制度」を前提としていることがあげられます。図書館法では「公立図書館は、入館料その他 図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」とし、他の施設と比較しても最も厳しい無料原則を規定しています。よって収入としての利用料金制度は成り立つ余地がありません。本市の公立図書館は本館の中央図書館をはじめ3分館、5つの分室を所有し、いずれも市の直営で図書館法(1条)における「国民の教育と文化の発展に寄与することを目的」に事業を行っています。
そこで伺います。
本議案では、図書館条例の改正によって「つどいの拠点施設」の1つである「憩いライブラリ」について、指定管理者制度を導入するものですが、既存の公立図書館の管理運営にも適用できるものとなっています。今後の、公立図書館における管理運営を指定管理者制度の導入を考えているのか、ご見解を伺います。また市民の図書館利用および図書館運営に、どのように影響を与えていくと考えているのか、ご見解を伺います。
次に、第163号議案および第164号議案、財産の減額貸付について伺います。
全国では公立保育所の減少が続いています。2000年度には、施設数2万2195か所のうち、公立保育所は1万2723か所、私立保育所は9472か所でした。しかし2024年度は施設数は、2万3523か所のうち公立保育所は6866か所、私立保育所は1万6657か所となっています。保育所の施設数は増えているのに、公立保育所が減少している主な要因は、公立保育所の民営化による私立保育所への移管・移譲によるものです。2003年の地方自治法改正により創設された指定管理者制度により、民間事業者も含めた幅広い団体に委ねることが可能になり、2015年から公私連携型保育所の制度が導入されました。本市では2006年から公立保育園を指定管理者制度による運営を開始していますが、児童数の減少や施設の老朽化などにより、多様化する保育ニーズに対応するために、4月に「八王子市乳幼児期の教育・保育に関する方針」が策定され、自治体と民間事業者が協定を結び、保育所の土地・建物を無償または安価で譲渡、貸与でき公も一定の関与ができる公私連携保育所を整備していくことが示されました。本議案は、指定管理者制度を導入している6園の市立保育園のうち2園を公私連携制度に移行し、市所有の土地・建物等を来年度から10年間の貸付を行い、保育運営を行うとするものです。貸付は、保育・子育て支援の継続的、と安定的に運営することを目的としながらも児童福祉法第56条の8第4項において、「市町村長は、当該公私連携保育法人に対し、当該設備を無償又は時価よりも低い対価で貸し付け、又は譲渡するものとする」と定めています。
そこで伺います。
公私連携型保育所の設置において、貸付による保育運営を選択した経緯を伺います。また、指定管理者制度を導入している小規模保育事業を除く残り3園についても同様の制度選択を考えているのか、ご見解を伺います。
今回、公私連携保育所に移行する「せいきょう」保育園ならびに「多賀保育園」は在籍児童数70人代と安定的に維持してますが、築年数は50年を経過しています。10年間の貸付期間においては、大規模修繕も予想されます。
建物の修繕等にかかる経費の負担割合とともに、市も修繕に関与した保育所運営を今後、公私連携保育法人とどのように調整していくのか、保育事業者との契約や協定についての考え方をお示しください。
本市の公立保育所も、この20年減少傾向にあります。施設数は減少していますが、公立保育所は、障害児保育や緊急一時保育など「セーフティネット」として機能をはじめ、職員の安定した身分保障や保育所運営の安定、継続性が図られるなど、人的資源を保育だけでなく地域の子育て支援などへの活用も考えられると思います。保育、子育て支援に資するうえで安心・安全の保育事業を継続・安定的に事業を行うにあたって、今後の保育所運営に対する植原副市長のご所見を伺います。
最後に、第175号議案及び第176号議案、第179号議案、八王子市立学童保育所の指定管理者の指定について伺います。
学童保育は、子どもの権利と尊厳を保持し、子どもたちが放課後や休みの日に、生活の場として安全に安心して過ごすうえで、社会的に必要不可欠な施設であり、重要な社会的役割を果たしています。わが会派は、学童保育を営利事業ではなく社会福祉法に基づく福祉事業として、行政が責任をもって、子どもたちが安心して暮らせる基盤を整備し、誰もが地域で共に生きる公共性を提供していくことが必要であると考えるものです。学童保育は「子どもの生活の場」であり、また長期的に子どもを支える場であることから、事業者の継続・安定性が求められます。また自主運営の学童クラブなどからつくり上げられてきた本市の学童保育の歴史も鑑み、地域や保護者との交流や地域の信頼や協働など、地域に密着し、「子どもと保護者との安心性」を維持した学童保育運営が求められます。さらに学童保育指導員は高い専門性を必要とされ、公的責任で処遇改善を行い、安定した人材の確保が必要です。このように「子どもの育ちを守るのは行政の責任」として安定的・継続的な運営こそ子どもの安心につながると考えています。本議案では、これまで3つの学童保育所を15年にわたって運営してきた株式会社運営の指定管理者が、都内23区を中心とした事業に集中したいとの理由で、本市の学童保育事業から撤退し、あらたに新規の株式会社が指定管理者に指定されたものです。
長期にわたり地域の学童保育をになってきた事業者が、市外へ事業撤退にあたり、職員のひきつぎ、地域と子どもたちの関りの継続性をどのように担保し、切れ目のない学童保育事業を展開していくのか、市のご見解を伺います。
学童保育における指定管理者制度は、サービスの柔軟性や市の財政的負担を軽減の効果が期待される一方で、保育の質の均一化や人材確保と処遇改善、地域との連携、契約更新時の不安定さとして指定期間終了ごとに事業者が変わる可能性など、子どもや保護者に不安を与えるなどの課題があります。
学童保育事業は、学童保育が社会福祉事業に位置づけられているにもかかわらず、指定管理者制度を導入後、結果として学童保育における「効率性と公的責任」「財政負担軽減と保育の質」という問題が生じています。「子どもの育ちを守るのは行政の責任」として安定的・継続的な学童保育事業を展開していくのか、市の見解を伺います。
以上で、日本共産党八王子市議会議員団の代表質疑を終わります。



