2025年第2回定例会本会議|第88号議案・第89号議案に対する反対討論|2025年6月26日 わたばやしゆか

それでは、第 88号議案、八王子市家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例設定について

および、第89号議案、八王子市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営の基準に関する条例の一部を改正する条例設定について

この2議案につきまして、

日本共産党八王子市議会議員団を代表し、反対の立場から討論を行います。

今回の条例改正は、国基準で定める連携施設の確保に関する基準が緩和されたことに伴うものです。

「子ども・子育て支援新制度」が平成27年度に実施され、家庭的保育、小規模保育、事業所内保育、居宅訪問型保育の4つが地域型保育事業として整備されてきました。

地域型保育事業は、自治体が定める基準を満たした保育を必要とする0~2歳の子どもを保育する施設で、0~2歳の待機児童対策を目的として整備されてきましたが、3歳になると卒園を迫られることになります。そのため、地域型保育の事業者には、3歳からの園児の受け皿として、「連携施設」の確保が条件として定められています。

国基準の緩和の背景には、経過措置の延長となる令和6年度においてもなお連携施設の確保ができている事業所は全国で67.8%にとどまっており、依然として確保が難しい状況があるためです。

令和6年の地方からの提案等に関する基本方針の中で見直しの方針が示され、国基準の緩和が行われました。

具体的には、保育の内容に関する支援について、保育所や幼稚園、認定こども園以外の施設でも可能となったこと、代替保育の提供にかかる連携施設の確保について、必要な措置を講じてもなお著しく困難な場合には連携施設の確保を不要とすること、連携施設を確保しないことができる経過措置の期間を令和12年まで延長すること、以上3つです。

 一方で、本市においては、家庭的保育事業をはじめ全ての地域型保育事業において、保育所・幼稚園・認定こども園を連携施設として確保することができています。

 本市ではすべての地域型保育事業において連携施設を確保できている状況を踏まえれば、安全安心な保育の質を下げることになる条例改正は必要ないと考えます。

 市は、条例を定めるに当たって「従うべき基準」とされていることから、条例の基準を改めるものと説明をしています。

 しかし、地方自治体で定める条例で国基準よりも安全な基準を設定することは認められています。

 例えば習志野市では、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例において、連携施設に関する経過措置については設けずに、連携施設の確保が円滑に行われるよう、必要な措置をとることを市長に義務づける内容になっています。国基準で規制緩和がされたから自動的に市の条例も合わせなければならないというわけではなく、実際には、必要がなければ経過措置を設けないということも地方自治体の裁量に任されています。安易に規制緩和の方向をとる今回の条例改正は認められません。

条例改正されてしまえば、現状はなんら影響がなくても、社会情勢が変わり、連携施設先が連携を続けられない状況が出てきた場合に、なし崩し的に家庭的保育の安全性を担保できなくなってしまうのではないか。市が責任をもつことに全力を尽くさなくなることを、許してしまうことになるのではないか。そのことを私たちは懸念しています。

委員会審査において、連携施設先が何らかの事情で続けられない事態が生じた場合には、公立保育園が受け皿となって連携施設の確保に努めるとの答弁がありました。連携施設の確保が難しい場合には市の責任として公立保育園が担っていく考えが示されたことは非常に重要です。

一方で、令和7年4月に示された「八王子市 乳幼児期の教育・保育に関する方針」においては、公立保育園の中でも市が直接運営する直営園の再編や、指定管理園を公私連携型保育所に移行する考えが示されました。

直営園の再編により、連携施設となっている直営園が統合という形で姿を消した場合、新たな連携施設先の確保に支障が出る可能性があります。

また、公私連携型保育所への移行に伴い、仮に、運営事業者の変更が起きた場合には、連携協力が打ち切られることもあり得るのではないかと考えます。

家庭的保育を含めた地域型保育事業の制度導入の際、保育所・幼稚園・認定こども園との連携協定があるからこそ一定の保育内容と質が保たれ、安全な保育ができると説明されてきました。今回の条例改正により、安心安全な保育の提供・質の確保が担保されなくなる懸念を払拭することができないため、今回の条例改正を認めることができません。

以上、反対討論とします。

▲リンク先:令和7年第2回定例会 令和7年6月26日(木)本会議 閉会 ― 厚生委員会所管分 ― 

※わたばやしゆか議員の討論は動画開始から 12:00 分経過のところから始まります。