2024年度市政運営と予算に関する要望書
市長と市議団
教育長と市議団
10月24日、日本共産党八王子市議会議員団は「2024年度市政運営と予算に対する重点要望」を石森市長に提出しました。教育・子育て支援、高齢者・障がい者福祉、中小事業者支援ならびに気候危機対策やジェンダー平等など9項目37課題の要望です。
石森市長は3期12年の市政運営を振り返り、バランスを考え自分の思い描いてきた市政運営の実現にむけて取り組んできたことを述べました。党市議団は、国民健康保険税の負担軽減や気候危機対策、18歳以下の医療費無償化など市議選の公約に掲げた8つの重点政策や決算審議の中で明らかとなった問題を示し、市民から寄せれた要望の実現を求めました。
4月から始まった18歳以下の医療費の無償化は所得制限があり、党市議団は制限の撤廃を求めてきました。石森市長は「18歳以下の医療費に、一部残っている所得制限はなくすことがよいと考えている。都にも要望している」と述べました。
党市議団は安間教育長へ「2024年度市政運営と予算に対する重点要望」を提出し、学校給食無償化や学校体育館へのエアコン設置など遅れている課題の前進とともに子どもたちの命と健康を守る教育行政の充実を求めました。安間教育長は、「学校給食の質だけはどんなことがあっても維持していきたい。学校給食の無償化については国や東京都に必要な財政措置を求めていく」と述べるとともに、学校体育館のエアコン設置については「今後は新たな手法と考え方で対応を図りたい」と述べました。
党市議団は、引き続き市民要望実現のため全力で取り組みます。
八王子市長 石森 孝志 殿
2024 年度市政運営と予算に対する重点要望
2023 年10 月24 日
日本共産党八王子市議会議員団
団長 鈴木 勇次
石井 宏和
市川 克宏
望月 翔平
綿林 夕夏
日頃の市政運営のご努力に感謝申し上げます。新型コロナウイルス感染症は私たちが経験したことがなかったパンデミックになりましたが、市長をはじめ職員のこの間の取り組みに敬意を表します。
市民のくらしは金融政策の失敗による円安や気候変動による農産物の不作等により特に食料品物価の高騰が顕著で依然として苦しいものとなっています。引き続き貧困と格差の是正は市政の大きな課題となっています。生活支援対策の強化をお願いします。
先の議会では、予算執行上の問題など私共会派からは多くの指摘と要望をさせていただきました。今後の市政運営及び予算の編成に活かしていただくようお願い致します。
記
1. 教育・子育て支援
① 全国をはじめ都内でも22 区3市5町村が学校給食無償化に踏み出しています。(2023 年9 月26 日時点)
(ア) 温かい学校給食実現のめどがついた本市においても憲法26 条の理念に沿って学校給食費の無償化を実施すること
(イ) 地産地消をさらにすすめ、安心・安全で質の高い学校給食を追求すること
② 学校体育館への空調機設置率は都内で本市は最も遅れた自治体となっています。同時に今夏の平均気温は統計開始以降125年間で最も暑い状況の中で子どもや市民からも切実な声が寄せられています。
(ア) 子どもたちの命を守る教育環境の整備をすすめるために、全小中学校体育館へ空調機を設置すること
(イ) 設置した体育館空調機は授業や部活動など教育目的でも使用すること
③ 東京都は 18 歳までの医療費無料化を実施しましたが、23 区や多摩地域の一部自治体では独自に所得制限および通院時の自己負担をなくし完全無料化を実現しています。
(ア) 新たな多摩格差とならないよう、23 区などと同様に市として医療費の完全無料化を実施すること
(イ) 東京都にも完全無料化に係る財政措置を求めること
④ 一年以上不登校が続く子どもがクラス編成基準から除外されていることが2022 年度決算審議で明らかになりました。この不適切な編成基準方針を変更し、適切な教員配置を行うよう都教育委員会に求めること
2. 高齢者・障がい者福祉
① 高齢者が増加する中で、難聴によって生活に支障が出ている方がいます。
難聴を放置することでうつ病や認知症などの健康リスクも増加することから、聞こえに対する支援を行うため全国で補聴器の購入費補助が実施されています。
(ア) 補聴器の購入費補助を実施すること
(イ) 補聴器の調整が気軽にできる体制など聞こえへの支援や情報提供体制を整備すること
② 第 9 期高齢者計画・介護保険事業計画策定に向けた調査で、昨年の特別養護老人ホームの入所希望者が1268人に上ることや介護現場の人手不足の状況などが明らかにされました。
(ア) 入所待ち解消のため、特養整備を行うこと
(イ) 介護人材の確保・育成の強化と処遇改善への支援を行うこと
③ 障がい児の移動支援について、現在本市の対象は中学生以降となっていますが多くの自治体は小学生も利用可能となっています。早くから様々な経験をすることはその後の成長にも資するものであり、障がい児にとって重要な支援です。
(ア) 障がい児の移動支援を小学生まで拡充すること
(イ) 立川市のように利用時間数の繰越しを可能にするなど利用しやすい制度設計に見直すこと
④ 市が月額上限 10 万円に削減した日中活動系施設等運営安定化補助金について、月額上限額を増額すること
⑤ 重度障害者日中活動系サービス受入促進事業は、施設側にとって厳しい条件となっており執行率も低い状況となっています。利用しやすい制度設計に変更し、重度障がい者の居場所確保と施設補助を強化すること
⑥ タクシー・ガソリン費助成制度における所得制限は実施せず、障がい者の移動の自由を保障すること
3. 国民健康保険税・検診・保健所機能強化
① 国民健康保険税が 6 年連続値上げされ、本市は多摩26 市の中でも最も負担が重い自治体となっています。一方で、市民生活はコロナや物価高
騰の影響などで苦しい状況が続いています。保険税(料)を値上げせず据え置く自治体もあり、これ以上の負担増は市民生活にとって耐えられない状況です。
(ア) 国民健康保険税の値上げをやめること
(イ) 国民健康保険税の負担軽減をすすめ、特に18 歳以下の子どもの均等割は免除すること
② 前立腺がん検診を加え、がん検診の充実に努めること
③ 新型コロナ感染症が感染拡大するたびに本市保健所の業務はひっ迫し一部業務委託を余儀なくされました。新型コロナ感染症の経験を踏まえ、今後起こりうる新たな感染症から市民の命と健康を守るためにも恒常的な保健所人員の拡充をすすめ保健所機能を強化すること
4. 生活支援・中小事業者支援
① 昨年度は市職員による生活保護利用者への不適切発言事案発生の反省から市として二度と同じことをおこさないという決意のもと改善策がまとめられました。同時に貧困と格差が拡大し、コロナや物価高騰の影響で生活困窮者・生活保護利用者が増加するなかで行政の役割は大きくなっていることからも生活困窮者・生活保護利用者に寄り添う体制強化が求められています。
(ア) ケースワーカーを増員すること
(イ) 育休等で抜けた職員の分は正規代替職員を配置し、負担の軽減を図ること
② フードバンクや子ども食堂への食材購入費支援を継続して実施するとともに安定した運営ができるよう補助金の活用範囲を柔軟にすること
③ はちバスの増便や路線拡充、デマンド交通の導入で地域公共交通の充実をすすめること
④ バス待ち環境の向上のため、町田市のようにバス停のベンチ設置や屋根の設置促進に向けた補助金をつくること。バス事業者などと具体的に協議をすすめること
⑤ タクシー券の補助など高齢者や妊産婦をはじめとした市民の移動支援を充実すること
⑥ 学生・若者の定住促進のために創設した八王子市定住促進奨学金返還支援事業について、支給要件の追加・変更があり応募が昨年より少ない状況です。支給要件を当初の要件に戻し、利用しやすい制度設計とすること
5. 横田基地問題・平和行政
① オスプレイの飛行停止を国と米軍に求めるとともに、常時騒音測定を実施し市民被害の実態を明らかにすること
② 国に対し、横田基地への立ち入り調査を行い PFAS 汚染の実態を明らかにすることとともに健康保持のための対策を講じるよう求めること
③ 八王子空襲などの戦災資料を歴史・郷土ミュージアムに常設展示することや被爆2 世樹であるアオギリを植樹するなど戦争の悲惨さを後世に伝えるための平和行政を充実させること
④ 八王子平和・原爆資料館について公的責任で運営し、貴重な資料の保存に努めること
6. 気候危機対策
① カーボンニュートラル実現に向けて、公共施設における再生可能エネルギーの活用を促進し、ゼロカーボンシティ宣言市の責任を果たすこと
② 再生可能エネルギー利用機器等設置費補助制度の抜本的拡充をすすめ、市全体としてさらなる再生可能エネルギーの普及促進を行うこと
7. ジェンダー平等
① 同性パートナーシップ制度を含むジェンダー平等を推進する条例を制定し、都とともにLGBTQ+の方々が市内で権利を侵害されることのないよう取り組みを進めること
② 市選挙管理委員会の委員 4 名全員が全員男性であることは男女共同参画の観点からは問題があるとの男女共同参画苦情処理委員会の附帯意見を十分に踏まえ対応すること。そのほかジェンダー平等の観点から委員構成などの改善を進めること
8. まちづくり・大型開発
① 中心市街地のまちづくりについては、ハード面だけでなく産業振興部を中心にソフト面を含めた産業振興策を講ずること
② 市が目指す「いつでも、どこでも、だれでも」本が楽しめる読書のまち八王子を進めるためにも八王子駅南口集いの拠点内に整備する憩いライブラリについて、貸し出しを行うこと
③ 富士森公園陸上競技場の個人利用が有料となっていますが、利用料徴収のための委託費用が利用料収入を上回る状況であることが明らかになっています。二重負担の解消とともに市民・子どもたちが健康づくりのため気軽に利用できるよう無料にすること。団体利用については以前のように徴収業務を直営で実施すること
④ 川口土地区画整理事業について、トウキョウサンショウウオやオオタカなど希少生物の生息域を破壊する北側斜面公園緑地地区の不必要であり市民も反対している開発は中止すること
⑤ 川町スポーツパーク計画に伴う残土事業は、28 人の死者を出した熱海残土崩落事故の10 倍以上となる55 万㎥もの残土持ち込みが計画されています。地域の土砂災害の危険性を高める本事業の中止を事業者に対して求めること
9. 市政の運営に関すること
① 議会で決定したことを誠実に執行すること。市は「計画行政を推進し分かりやすい行政執行に努めている」との説明ですが、市民のくらしに影響を与えるサービスの削減に関することを委任専決で決定することはあってはならないことと判断しています。是正すること
② 2022 年の契約からも明らかになりましたが、一者随意契約など競争性がない委託契約が60~70%以上と大変増えています。異常な委託費など指摘してきましたが、入札の競争性・公平性を確保し、契約の適正化に努めること
③ 公契約の中で、下請けなどの実態があるため、人件費が国交省基準以下になっている事実が報告されています。市は正しく対応するよう要請していると報告していますが、是正されていません。抜本的な解決を図るため公契約条例を制定すること
④ 生活福祉、保健所行政、教育ならびに産業振興の現場など「人員・人材」の不足が顕著です。必要な部署への職員の適切な補充を図ること
⑤ 病気休暇中の職員が多くいます。職員の勤務時間等も含め健康管理に十分留意すること
以上