2022年度の市政運営並びに予算編成に関する要望書を提出

11月17日、日本共産党八王子市議会議員団は、石森市長へ「2022年度の市政運営並びに予算編成に関する要望書」を提出しました。木内副市長と総合経営部長が同席しました。
要望書は、昨年度決算質疑で明らかになった施策の成果と課題が明確になったもとで、防災や気候危機など急ぎ対応が必要なことをまとめました。
石森市長は「寄せられた要望についてはできるだけ反映できるように努力したい」と述べました。また困窮者支援については、フードバンク団体と意見交換を行うなかで「深刻な実態として受け止めている。継続的な支援をしたい」との考えも示されました。
党市議団は、皆さんから寄せられた要望の実現へ、全力で頑張ります。


 

八王子市長 石森 孝志 殿

2022 年度の市政運営並びに予算編成に関する要望書

 

2021年11月17日
日本共産党八王子市議会議員団
市議会議員 鈴木 勇次
同   石井 宏和
同   望月 翔平
事務局  市川 克宏

本市市民の福祉増進と本市の発展のため取り組まれている貴職に敬意を表します。
決算議会を通して、昨年度取り組まれた施策の成果と問題点が明らかとなりました。議論されたこと、並びに市民から出されている要望を含め、党議員団として要望書にまとめました。
新型コロナの感染状況も現在は落ち着いてはいるものの第6波の感染拡大があると予測され、引き続き市民の命と健康を守る課題に取り組まなければなりません。なお、この2年のコロナ禍で市民のくらしや営業に大きな困難が発生し、その支援が急がれています。一層のご努力を期待します。
また、防災や気候危機など基礎自治体としても急ぎ対応が必要なことについても併せて要望しますので、ぜひ市政執行に活かしていただくようお願いいたします。

1. 新型コロナ対策について

① 国が第6波対策として、無症状者もPCR検査を無料で出来るよう検査体制の整備を行うとの報道があった。国や都、医師会と連携しつつ、希望する市民がPCR検査を迅速に受けられる体制を整備すること。また市内でPCR検査が受けられる医療機関の一覧をまとめるなど情報提供を行うこと
② 本市では国の基準である中等症Ⅱに加えて重症化リスクの高い感染者の受け入れもできたと聞いている。しかし軽症と判断された方や若い世代でも重症化した事例が全国であり、自宅に留め置く状況は極めて危険である。感染者は入院を基本として迅速に的確な医療を受けられるよう臨時医療施設の設置を都に働きかけつつ、宿泊療養施設の活用など医療提供体制を整備すること
③ 自宅療養者について、十分な医療提供体制の整備や生活支援を実施すること
④ 保健所体制について、感染者の増加により業務がひっ迫する事態が本市でも発生した。今後も新型コロナのみならず新たに発生しうる感染症から市民の命を守るためにも、会計年度任用職員だけでなく常勤の職員を増やすこと
⑤ 3度目のワクチンの接種体制について、予約方法や接種場所の選定について市民に寄り添いきめ細かく対応を行うこと

2. 国民健康保険税について

① 国は来年度、未就学児の均等割について公費で5割軽減を実施する。市としてさらなる対象の拡大や補助の上乗せを実施し、子どもの均等割の負担軽減を図ること。同時に、国に対して国民健康保険税の負担軽減および子どもの均等割を廃止するよう働きかけること
② コロナによる市民生活の影響を踏まえ、国保税(料)の据え置きや値上げ中止を決定した自治体もある。市は毎年値上げを行っているが、値上げを中止すること

3. 生活困窮者支援について

① 八王子駅南口事務所ならびに南大沢事務所で実施している生活困窮者の方のための出張相談について、必要な方には食料配布を行い、予約制ではなく常時対応できるようにするなど必要な支援へとつなげる体制を強化すること
② 生活保護における扶養照会について、扶養照会が申請の要件でないことやDVや音信不通期間が10年以上の場合は照会しないなどといった厚労省通知を踏まえ丁寧に説明すること
③ 厚労省基準ではケースワーカー1人が担当する世帯数を80世帯としているが、本市は1人の担当する世帯が120世帯となっている。ケースワーカーを増やし、生活保護受給世帯に対してきめ細かく対応できるよう体制を強化すること
④ 自立支援課にて実施している食料の緊急支援について、配布する食料は市が用意したものではなくフードバンク団体から提供されている。市として配布用の食料や生活必需品を別途確保し、提供すること
⑤ フードバンク団体、子ども食堂運営に対しての補助を強化すること

4. 学生支援について
学生青年団体が行っているフードバンクには学生が毎回100人前後利用するなどコロナの影響による深刻な状況はまだ続いています。また市内の大学においては都心へ学部を移動させる都心回帰の動きがあるなど、今後も大学の移転や学生の減少が予想されます。学園都市八王子市として、全市をあげて学生や大学を応援していくというメッセージを強め、魅力あるまちづくりを進めていく必要があると考えます。

① 困窮する学生や若者に対して、食料や生理用品の配布を実施すること
② 引き続き学生の生活実態について市として調査を実施すること
③ 支援を必要とする学生の実態を踏まえ、要件を見直すなど利用しやすい制度設計を行ったうえで学生支援特別給付金を実施すること
④ 家賃・光熱費補助など学生や若者が八王子市内で安心して住み続けることができる支援を創設すること
⑤ 高校生に対して実施している八王子市奨学生制度を充実させ、市内の大学生に対する独自の奨学金制度を創設すること

5. ジェンダー平等について

① 同性パートナーシップ制度を早期に実施すること
② (仮称)八王子市男女共同参画推進条例について、市が果たすべき役割を明確化すること。また男女のみならず性的マイノリティの方々の権利に関しても位置づけること
③ 市内公共施設や学校のトイレに生理用品を常設すること
④ 市職員の管理職における女性比率目標が昨年度より30%から20%へと引き下げられている。また実績でも15.1%であり、目標達成には遠い状況である。女性職員の積極的な登用および働きやすい職場環境を整備し、早期の目標達成を目指すこと

6. 市施設の在り方について
① 八王子駅南口集いの拠点
今年公表された会計検査院の「国が実施するPFI事業について」の検証で、PFI事業が維持管理費など割高で、不適切な業務が横行していた例が多数あったことなど重く受け止め、八王子駅南口集いの拠点整備の事業手法は、PFI事業ではなく、直営で最良のものにすること。特に、「憩いライブラリ」「歴史ミュージアム」の運営は、それら施設の機能を十分発揮できるよう直営とすること

② 富士森公園競技場
決算議会では、富士森公園陸上競技場における個人利用を有料化したことで新たに必要となった人件費など約2000万円の支出が増えたことが指摘された。利用料と新たな支出の増加によって市民の二重負担となっていることは明らかである。よって直ちに個人利用については無料に戻すこと

③ 学校プール
学校プールの集約化に向けて、今年度は下記の通り試行的に市内4校で移動を伴う授業を実施した。しかし授業時間や着替え、移動方法、プールの立地など学校プールの集約には大きな問題がある。学校プールの集約化は行わないこと

※今年度試行実施した学校
・恩方2小→恩方1小  ・4小→あったかホール
・南大沢中→南大沢小  ・陵南中→東浅川保健福祉センター

7. 児童館について
市は児童館の再編・縮小を前提とした計画を今年度中に策定するとしている。児童館は18歳までの子どもたちが集い、年代を超えて交流し成長し合ううえで重要な場所である。地域における子どもの居場所となっている児童館を存続させること

8. 保育所について
今年度の保留児童数は135名、待機児童数も19名となっている。認可保育所の整備を進め児童を受け入れること

9. 学童保育所について
利用を希望する小学校4年生以上の受け入れを行えるよう引き続き整備を進めること

10. 障がい者・高齢者福祉について

① 日中活動系事業所の家賃補助について最大半減とする削減を中止し、引き続き支援を行うこと
② 障がい児の移動支援について、学童への送迎などの必要性を踏まえ小学生から実施できるようにすること。また受け入れる事業者も増やすこと
③ 加齢性難聴者に対する補聴器購入の補助について、都の包括補助も利用しながら実施すること
④ 特養ホームの整備について、設置に対する補助を都と同じ水準を保障しながら市としても上乗せを実施し、事業者の特養ホーム設置を促す取り組みを進めること

11. 環境対策について
① 気候危機問題
本年10月31から11月13日、COP26が開かれました。脱炭素化に向け石炭火力発電所の廃止の合意がなされている中で、「日本政府は、2030年どころか2050年以後も石炭火力発電の使用継続を主張している」として、COP25に続き2年連続で化石賞に不名誉ながら選ばれました。一方で、政府の動きを待たず気候危機に積極的に取り組む自治体が生まれています。(ジャパン・クライメイト・イニシアチブ(JCI)に参加している自治体数、東京都も含め37)

(ア) 「気候変動イニシアチブ」に参加し、気候危機への取り組みの行動を共にすること
(イ) 本市として気候危機宣言を発し、温暖化防止対策での目標数値を引き上げ、「省エネ・再生エネルギー普及」に全力で取り組むこと

② オオタカ保護
川口区画整理事業地において、オオタカが営巣し3羽の幼鳥が育っていることが確認されました。しかし市は区画整理事業の推進を図ることのみを優先し、絶滅危惧種としてのオオタカ保護に取り組んでいません。

(ア) オオタカの保護を市の責任で行うこと
(イ) 営巣区域(区画整理地域)での発破の使用は止めること

12. 交通対策について
高齢者人口が増す中で、自動車運転免許の返納措置が進められているが、本市は居住地域が広域に点在しており、公共の交通機関が十分でない地域が多数存在している。はちバス路線の増設やデマンド交通の整備、福祉タクシーなど交通対策を進め、特に高齢者、障がい者など交通弱者の移動手段を確保すること

13. 防災対策について
本市では土砂災害が最も大きな被害を出す災害として危惧されています。熱海市での災害でも盛り土の危険性が指摘され、国交省が全国点検を行うこととなりましたが、点検の方法など、危険性を事前に除くことができるかが問われることになります。

① 許可条件と違う盛り土、法令違反があるかなどを目視で判断することはできないと考えるが、東京都の点検作業に市も立ち合い安全性を確認すること
② 点検結果を早急にまとめ周知を図ること
③ 盛り土高については、最大18メートルをこえてはならないとする規制基準を確実に守らせること
④ 川口区画整理事業では、調整池の面積を当初より広げるのであれば貯水容量を合わせて引き上げること
⑤ 川町のスポーツパーク計画は、事業者から環境保全や盛り土の安全性について信頼できる説明がないことから、東京都環境保全審議会(規制部会)が事実上ストップしている。計画の中止を事業者に働きかけること

14. 個人情報保護について
市職員による個人情報の不適切な活用をめぐって、元職員が2名略式起訴されました。現役の市職員も関わる深刻な事態となっています。

① 市が自己情報コントロール権(自己情報決定権)についてどのように考えているか、告発者へ説明し十分に謝罪をすること
② 告発案件について、市の個人情報管理の在り方を整理し問題点を報告すること。今後の対策について説明すること
③ 情報のデジタル・オンライン化のもとで個人情報の取り扱いには、漏洩や目的外使用など起こさぬよう特段の注意を払うこと

15. 産業・事業者支援について

① 公共工事設計労務単価が、9年連続で引き上げられたが、市が発注した工事で、労働者の賃金として還元されているか、市として調査し指導すること
② 市の事業で働く労働者の賃上げを図り、生活の安定や消費の底上げにつなげるよう、公契約条例を制定すること
③ 政府は2023年10月からインボイス制度を実施しようとしている。インボイス制度については、日本商工会議所など様々な団体が制度の延期や中止を求めている。市内中小商工業者の営業とくらしを守るために、国に対してインボイス制度の中止を求めること
④ 政府は中小事業者に対し、最大250万円の給付を行う方針を固めた。支援を幅広く届けるため、市としても市内中小業者の実態と照らして要件を緩和し、事業継続に必要な支援を実施すること

16. 学校教育について

① 国や東京都に教職員を増やしながら35人学級を早期に実現し、さらなる少人数学級をすすめるよう働きかけること
② 東京都に対し、特別支援教室の教員配置基準を引き下げず、1人の教員が担当する児童・生徒を10人以下にして、支援を拡充し継続するよう働きかけること
③ 猛暑によって授業に支障をきたしているため、学校体育館のエアコン設置を進め、授業や部活動に活用すること
④ 給食費の無償化を目指して、負担軽減を図ること。
⑤ 学校司書が27名から2016年度以降増員されていない。学校司書を増員し、大規模校から配置日数を増やして、子どもの読書や学びを充実させること

17. 職員の働き方について
この2年間で、過労死ラインを超える働き方をした市職員が増加しており、早急に改善すること。市民サービスを向上させるためにも、正規職員を中心に職員を増員すること

18. 平和行政について
来年度は八王子市非核平和都市宣言から40周年の節目に当たります。平和首長会議にも参加されている市長には、核兵器のない世界の実現に向け平和行政へのさらなる取り組みが期待されています。

① 今年発効した核兵器禁止条約を批准し、締約国会議に参加することを政府に求めること
② アメリカ空軍特殊作戦部隊のCV22オスプレイの配備や夜間・低空飛行訓練や輸送機の旋回訓練などの中止を米軍と国に求めること

 

以上